登録の段階でフルゲート(18頭)割れ。しかし、なんとも豪華なメンバーがそろった。見応え満点のGI戦、それが今週のメイン、天皇賞・秋だ。
1週前の追い切りを直前にしてダービー馬ワグネリアンが故障で回避せざるをえなくなったのは残念であるが、それでも14頭中8頭がGI勝ち馬。これでは登録するだけ損、いきおい、少数精鋭になるのも当然である。
とはいえ、馬券的には難解だ。これだけハイレベルな争いなのだから、胸突き八丁の激しい競馬になること請け合い。ゴール前のつばぜり合いが目に浮かぶようで、勝ち馬、連対馬をしぼり込む作業は悩ましいばかりだ。
人気は、どうなるのだろう。スワーヴリチャード、レイデオロ、アルアインのGI勝ち牡馬勢が最右翼と見られるが、重賞連覇で勢いづく牝馬のディアドラも差はなかろう。また、名手モレイラ騎手とコンビを組むことでサングレーザーの株も急上昇。人気順を当てるだけでも、かように難しいのだから、なんともすごいGI戦だ。
データをひもといてみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの16年間、その馬単での万馬券は4回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は8勝(2着3回)で、2番人気馬は不思議と苦戦しており、0勝(2着5回)。1、2番人気馬のワンツーも2回だけで、傾向からは1番人気馬から人気薄を含め、何通りかに流すのがよさそうである。
年齢からは充実著しい5歳馬、これからピークを迎える4歳馬が地力にモノを言わせて圧倒的に優勢だ。むろん、これは牡馬、牝馬の性別にかかわらない。
ならば前述した人気どころのいずれかを中心視、主力と見るのが馬券の筋ということになるが、その人気勢の中でも、宝塚記念勝ちのあと一頓挫あったミッキーロケット、1週前の追い切りができず調整に狂いが生じたレイデオロは、一枚割り引きたい。
そして穴党として期待したいのは、やはり人気薄。といってもれっきとしたGI勝ち馬だ。人気の盲点と言うべきか、評価が低くなったところでキセキを狙ってみたい。
泥田のような不良馬場での激闘の末、菊花賞を制したが、その代償も大きかった。反動、疲れは半端ではなく、その後の香港遠征では完敗。休養を挟んでの今年初戦の日経賞は、余裕残しの状態が響いて、折り合いを欠いて凡走。再び放牧に出され、休養明けとなった宝塚記念もいいところなく、完敗してしまった。
春はさんざんだったが、この秋は違っている。リフレッシュ放牧後の再調整がうまくいった。
前走の毎日王冠は、逃げ切り勝ちを演じたアエロリットの直後につけ、コンマ2秒差の3着に頑張ってみせた。宝塚記念以来3カ月半ぶりの実戦で10キロ増の体重だったことを思うと、復活なったとみていいのではないか。
「背丈が伸びて馬体に幅が出た。落ち着きが出て、気持ちの面でも成長が見られる」
こう厩舎スタッフが口をそろえるほどで、この中間の気配はすこぶるいい。だからだろう、1週前の追い切りも実にリズミカルだった。ならば、変わり身を大いに期待していいのではないか。
ダイワエルシエーロ(オークス)など近親、一族に活躍馬が多くいる良血。晴雨にかかわらず、頭から大きく狙ってみたい。