プロ野球ドラフト会議の目玉と言えば、重複指名による「クジ引き」。過去に「史上最多の8球団競合」となった1989年の野茂英雄(新日本製鐵堺⇒近鉄)の例があるが、この時に抽選に外れた大洋ホエールズ(現・横浜DeNA)が、外れ1位指名をしたのが佐々木主浩(東北福祉大)だった。
このように、「外れ1位」で入団した選手が、後に大成するケースは意外と多い。
その代表例は巨人の坂本勇人(光星学院)。2006年の高校生ドラフトで、堂上直倫(愛工大名電校⇒中日)の外れ1位で指名されたが、現状、堂上をはるかに凌ぐ活躍を見せているのは周知の通り。ヤクルトの山田哲人(履正社高)も2010年のドラフト「外れ1位」。それも、まず「斎藤佑樹(早稲田大⇒日本ハム)」を外し、次に「塩見貴洋(八戸大⇒楽天)」と外れ外れ1位での入団というのが感慨深い。
後に「アライバ」と呼ばれた中日鉄壁の二遊間を組んだ名手にして、今シーズン2000本安打を達成した・荒木雅博(熊本工業高)も、1995年のドラフトで、福留孝介(PL学園高)を外し(近鉄に指名されたが、入団を拒否し、社会人の日本生命を経て中日入り)、続いて、原俊介(東海大相模高⇒巨人)も外した後の、外れ外れ1位だった。
外れ1位とはいえ、そもそも上位指名にリストアップされていたからこその後の活躍。あるいは、「純粋な1位指名ではない」という悔しさがハングリー精神となり、飛躍の後押しとなったのかも知れない。
今年も選手たちの運命を左右するドラフト会議が控えている。清宮幸太郎(早稲田実)、中村奨成(広陵高)の外れ1位にも注目したい。