これでは政界再編フィクサーとしての面目も丸潰れだが、同様のことは第五の男たる若狭勝氏と、第六の男、細野豪志氏にもあてはまる。希望の党への合流交渉の舞台裏に詳しい民進党幹部も、渋い表情でこう話すのだ。
「両者とも、『国政新党についてはオレたちの手で』との自負を持っていたはず。それだけに、民進党の取り込みを巡って小池さんから『遅い!』『手ぬるい!』などと叱責されたあげく、『こうなったら私が代表に就く』と伝えられた時のショックは、いかばかりだったか。実際、その時、若狭さんなどは目がうつろというか、泳ぐような目になっていましたからね。結局、どちらも小池さんの番頭でしかなかった、ということです」
そんな中、細野氏は民進党議員に対する希望の党の公認問題について、「三権の長を経験された方はご遠慮頂きたい」とのゴーマン発言にも及んでいる。要は、菅直人元総理(71)、野田佳彦元総理(60)らの重鎮は邪魔であり、仲間には入れないとの通告だ。この民進党幹部が続ける。
「細野さんがいささか調子に乗っていた面は否めないものの、三権の長云々を言わせたのは小池さんとみて間違いない。ただ、細野さんの言いっぷりも含めて、この手の発言は深い恨みを買う。今後、細野さんが政治の表舞台で脚光を浴びることになっても、政治家を続けていく限り、いずれどこかで手痛いしっぺ返しを食らうことになるはずです。そう考えると、嬉々として小池さんに仕えている細野さんが何やら気の毒に見えてくる‥‥」
同様の構図は、東京・築地市場の豊洲移転問題などでの小池批判から一転、衆院選での候補者調整で希望の党から合意を引き出した日本維新の会代表で大阪府知事の松井一郎氏(53)にも垣間見える。一言居士で知られる松井氏が第七の男として小池氏の軍門に下ったのはなぜなのか。
この点について、
「松井代表は大阪での立候補者に刺客を送り込まれることを恐れていた」
と振り返る日本維新の会関係者はさらに、苦しい内情を吐露するのだ。
「維新にかつての勢いなど望むべくもなく、大阪で議席を失えば事実上のジ・エンド。松井氏は大阪での候補者の棲み分けについてカッコいい理屈をつけてはいるが、要は『小池さん、お願いだから大阪だけはご勘弁を』というのが偽らざるホンネですよ。したがって、大阪でいくばくかの議席を獲得できたとしても、維新が総選挙後の政局で存在感を示すことなどあり得ない。小池氏としても、ここで恩を売っておけば何かの役には立つかもしれない、という程度の認識だろう」
では、「七人の騙され侍」の急所を握り、あるいは握り潰した小池氏は、何を目指しているのか。
森省歩(ジャーナリスト)