10月6日に希望の党は公約を発表した。アベノミクスに対抗した経済政策「ユリノミクス」の中には、
〈約300兆円もの大企業の内部留保に課税を検討〉
が掲げられて物議を醸している。内部留保とは、企業がその年に稼いだ利益のうち、株主の配当金や税金などを差し引いた、残りの「蓄え」を指す。政治ジャーナリストの山村明義氏が説明する。
「企業がためている“タンス預金”を吐き出させる強引な手段です。企業の体力を弱めるだけだし、日本企業の国際競争力にも影響が出てくるので、一般的に資本主義には適さない政策。生活に最低限必要な金額を国民に支給する『ベーシックインカム導入』も公約に入っていますが、その財源案は曖昧なまま。サラリーマンにはどちらもウケが悪い」
内部留保への課税については、「二重課税」と指摘する声とともに、経済界からも異論が噴出した。経団連の榊原定征会長は10日の会見で、希望の党が掲げた経済政策に触れ、
「企業の設備取得やM&Aへの課税は経済政策に負の影響を与える。過剰な現金はため込んでいない」
と憤りを見せた。政治部記者はこう語る。
「ユリノミクスは東京8区から出馬する木内孝胤氏(51)が民進党時代から温めていた案を、小池氏が受け売りで発表したものだそうです」
その他の政策でも、
〈『300円タクシー』を全国規模で実現〉
〈犬や猫の『殺処分ゼロ』を義務付ける法案〉
〈『花粉症ゼロ』を目指す〉
など大衆迎合が透けて見え、実現の可能性が疑わしいものが目立った。支持率が上がらない状況について、東京新聞論説委員の五味洋治氏はこう分析する。
「『30年までに原発ゼロ』の目標を掲げながら、既存の原発再稼働を認めるなど、短期間で作ったから政策に無理と矛盾が生じています。都知事との二足のわらじが足かせとなって響き、遊説できるのは新幹線が停車する駅周辺や都市部ばかり。地方で小池旋風を吹かせられないどころか、都議選で圧勝した東京でも離党都議が出るなど、イメージが低下し、惨敗の可能性も出てきました」
小池氏の遊説先は前日の夜までなかなか決められないという。スタッフも足りないありさまで、
「公約が書かれたパンフレット作りに時間がかかって配布が遅れました。公示日までに党名が書かれたのぼりを用意できず、街頭演説では、とりあえず党のイメージカラーの緑色ののぼりを立てていたこともあります」(希望の党関係者)
突貫工事で「ハリボテ新党」を作ったはいいが、このままボロが出続ければ、お膝元の東京都民からもソッポを向かれかねない。