9月6日、ある人事が新聞各紙で驚きをもって取り上げられた。田中真紀子氏(67)の「衆院外務委員長」就任内定である。かつて外相時代に外務官僚と激しく対立、更迭された過去のある人物を、野田総理はなぜ送り込んだのか。真紀子氏をよく知り、外務委員長経験のある自民党・平沢勝栄氏が、一触即発の危機を懸念した。
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「驚愕の人事だ。外交を進めなくてはいけない時期に、そういう人事をする民主党の感覚がわからない」
真紀子委員長内定の一報を受けた外務省幹部は、激しく動揺しながらこう言ったという。何しろ小泉政権時に外相に就任した真紀子氏は、隠し事をする外務省を「伏魔殿」と罵るなどして猛口撃。さらに、指輪が紛失したことに激怒して官僚に買いに行かせる公私混同から、海外高官との会談をドタキャンするなど、さまざまなトラブルを起こし、対立の限りを尽くして更迭されたからだ。平沢氏は苦笑しながら言う。
「外務委員長のポストは恐らく、真紀子さん本人が希望したんだと思いますよ。小泉政権の時も(外相を)やりたいという本人の希望でしたから。外務関係はステータスがあるし、外国に行った時、見栄えがいいんですよ」
ちなみに、外務委員長とは、
「本会議にかける前段階で法案、条約について可否を話し合う外務委員会の進行役で、中立な立場ですね」(民主党代議士秘書)
再び平沢氏が懸念材料について解説する。
「しかし真紀子さんが適任かどうかとなると、はなはだ疑問です。外務省の役人との間で決定的な、人間的にどうなのかという不信感、遺恨がまだ残っているわけですから…。法案や条約の審議を巡って事務方とうまくいくのか。あの時、けしからんと思ったことについて、仮に外務省を懲らしめようと思えばできるポストですから。役人からすれば、嫌な人が就いたなと、戦々恐々としていますよ」
真紀子氏の対応いかんでは、委員会の審議がストップし、本会議に上げるのもままならない状況になるかもしれないというのだ。事実、「答弁に納得せず、何度もやり直しを命じるかもしれない」(外務省関係者)との声も聞こえてくる。
「確かに、真紀子さんは外務省に対して厳しい委員会運営をする可能性はあります。しかし委員会より、むしろ理事懇談会のほうが心配です。理事懇談会というのは、法案を審議するための準備。委員会をいつ開くか、参考人は誰を呼ぶか、などを決めるわけです。そこでさまざまな問題が提起された場合、事務方がついていけないかもしれない。そして委員会は、委員長が了解しないかぎり進まない。互いの人間的不信感が残る中、公平な運営、正しい判断ができるかどうかです。特に外務委員会は頻繁に開かれますから」(平沢氏)
ここで平沢氏は、真紀子氏の外務的資質について、こんなエピソードを明かしてくれた。
「彼女の外相としての最大の失敗は、(日本への不法入国が発覚して、入国管理局に拘束された)北朝鮮の金正男氏をさっさと戻してしまったこと。01年5月1日に事件が起こり、私は翌2日、真紀子さんに電話したんですよ。まだ拉致問題が正式に明るみに出ていない時でしたが、『正男は日本に置いとかなきゃダメだ』と。ところが、真紀子さんは『正男を置いといたら(北朝鮮から)ミサイルが飛んで来る。早く帰さないと』とまくしたてる。あとはパニックでどうにもならなかった。ミサイルなんか飛んで来るわけがない。結局、丁重に北京に送り返したんです。これで危機管理ができるのかなと心配になりました。彼女は頭の回転がメチャメチャ速い。反面、思い込みが激しいところがある」
かつて外務官僚と対立した件も、この「正男放逐事件」同様、感情的なものが主原因だったとされる。
「少なくとも昔の真紀子さんそのままだとすれば、委員長としては絶対に失敗するでしょう。でも過去の失敗を踏まえ、あれからもう9年もたっているから違いますよ、ということであればいいんですが…」(平沢氏)
委員会運営に不手際が発覚した場合、委員長の解任要求が発動されることはあるという。6月の退陣表明以降、前総理が作った3カ月もの外交空白を取り戻すべく、野田内閣にはやるべきことが山積している。「トラブルメーカー」がまたしても更迭騒動を起こさぬよう、平沢氏ともども国民はハラハラ見守るしかない…。
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