政治

元阪神・赤星憲広、選挙王が仕掛けた必殺隠し球

 総選挙を前に第三極を巡る政党同士の連携・合流の動きが加速している。そんな中、平静を保っているのが、「国民の生活が第一」の小沢一郎代表(70)だ。選挙にはめっぽう強いと言われるだけに、その心中には秘策があった。球界から刺客候補を送り込む「隠し球」作戦だというのだ。「選挙王」と「盗塁王」の強力タッグが誕生するのか!?

「第三極はこれから大きく2つの塊にまとまっていく。維新を中心とする塊と生活を中心とする塊だ」

 11月15日、小沢氏は「新党きづな」の国会議員6人の合流を受けて、こう話した。みずから掲げた「オリーブの木構想」は着実に広がりを見せている自信の表れとも取れる。

 一方、「維新を中心とした塊」のほうは、“難産”となっている。「減税日本」の河村たかし代表(64)の「太陽の党」合流が棚上げされるなど、維新連合は突然の解散に浮き足だっていることが露呈した。

 その点、小沢氏は余裕の構えで、「選挙王」の貫録にふさわしい態度で着実に準備を進めてきた。

 政治部記者が話す。

「10月末までに、『生活』は2次公認候補まで発表し、53人の候補者が決まっています。選挙区の調整は完全に終わってはいませんが、最終的には100人以上の候補者を立てる予定です。その候補者の中には、いわゆる『隠し球』の著名人候補者がいるようです」

 小沢氏は過去の選挙戦で多くの著名人候補者を出馬させてきた。記憶に新しいところでは、谷亮子参院議員(37)もその一人だ。かつて新進党時代には、野村沙知代氏(80)を出馬させて、世間を驚かせたこともある。

 どんな種類の知名度であっても、ないよりはマシである。それだけ小沢氏は選挙戦勝利のためには、手段を選ばない冷徹さもある。

 今回の総選挙でも「隠し球」の名前が複数名、取りざたされていた。選挙間近となり、いよいよ1人の有名候補者の名前が急浮上しているのだ。

 小沢氏に近い永田町関係者はこう話す。

「ロンドン五輪メダリストの名前も浮上したが、最終の公認候補者のリストから多くの『隠し球』候補が消えていく中、元阪神の赤星憲広氏(36)がまだ残っています。現役時代から、体が不自由な人のために、自分の盗塁数と同じ数の車椅子を寄贈するなど社会貢献活動に熱心で、『生活』の政策的理念とも一致する。そうした慈善活動を通じて、赤星氏は多くの福祉団体と交流しており、小沢氏は選挙に備え、他の政党が回らないような小さな団体を小まめに回り、支持を取り付けている。そうしたつながりの中からの推薦があったとも言われています。赤星氏も前向きのようで、小沢氏周辺も好印象を持っており、出馬宣言も近いのではないかと見られています」

1年前から政界進出を念頭に

 赤星氏といえば、09年まで阪神タイガースで活躍した元プロ野球選手。03年のセ・リーグ優勝時のレギュラーメンバーでもある。小柄な体格ながらも、俊足を生かし、01年から5年連続で盗塁王に輝いている。

 現役引退後は解説者のかたわら、ボランティア活動を熱心に続け、現在も基金を運営している。

 スポーツ紙阪神担当記者はこう話す。

「11年のオフに、赤星氏は阪神からコーチ就任の打診を受けていましたが、『体調面に不安がある』との理由で固辞しています。大ケガが原因で引退したとはいえ、テレビに出演する姿からは体調面の不安は感じられず、当時から不思議がられていたのです」

 1年前から赤星氏は政界進出が念頭にあったということなのか。

 前出・永田町関係者が言う。

「『生活』の選挙区調整はまだ続行中で、赤星氏の出馬はその展望しだいでしょう。しかし、出馬となれば、赤星氏の出身地である愛知県、もしくは阪神ファンが多い関西圏からの出馬となるのではないか。いずれにしても、議席を争う他陣営よりも、知名度の高さは有利に働くでしょう」

 現役時代にピッチャーのクセを盗み、次々と進塁した赤星氏。選挙でも対立候補の票を盗むことが期待されているのだ。

 一方で、第三極の勢力を「生活」と争う橋下氏率いる「日本維新の会」も「隠し球」候補の準備に余念はない。前宮崎県知事の東国原英夫氏(55)も都知事選出馬を取りやめ、東京1区で「維新の会」公認候補となることが確実視されている。

 ある政治ジャーナリストはこう言う。

「『維新の会』では公認候補公募を2度行っています。1度目は政治・行政経験者を募り、地盤を持っている人間を選んだ。2度目の公募では、知名度で選んだとも言われています。やはり、著名人候補が含まれていると思われ、芸人のたむらけんじ(39)の出馬情報があります。関東ではフンドシ姿のイメージしかないでしょうが、関西ではスーツ姿の実業家として認知されています」

 多くの名前が取りざたされている「隠し球」たち。どれほどの候補が当選を勝ち取るのだろうか。

 政治部デスクが話す。

「これだけ多くの政党が乱立する総選挙ですが、選挙区に地縁のない落下傘候補が増えるでしょう。すると、今回の選挙も『風頼み』になりそうです。無党派層の票をどれだけ多く獲得できるかが鍵となる。候補者の知名度やイメージも重要であり、著名人候補が善戦する可能性が高い」

 赤星氏もユニホームより議員バッジを選ぶのか。

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