80年代のアイドル勢力図を変えた「おニャン子クラブ」に、幻のメンバーが5人もいたことをご存じだろうか。その1人で、エース候補だった会員番号7番・友田麻美子(49)が、32年ぶりに沈黙を破る。
──85年4月1日、女子高生をメインに据えた「夕やけニャンニャン」(フジテレビ系)がスタート。瞬く間に社会現象になりましたが‥‥。
友田 私、そうなる前に辞めてしまったので(笑)。
──詳しい事情はあとで聞かせていただくとして、そもそも番組に出たのは?
友田 その前に「オールナイトフジ女子高生SP」って特番があったんです。これに出ると、推薦した人も賞品がもらえるというので友達に「応募していい?」って聞かれて。で、特番に出たら、レギュラーになるということで、そのまま参加することになりました。
──開始当時のレギュラーは11人で、ここに新田恵利や国生さゆりもいます。
友田 国生さんはすでに事務所にも入っていましたし、おふたりとも取り組み方がすごく真面目という印象でしたね。
──生放送で番組が始まって、覚えているエピソードはありますか?
友田 私、鼻血体質なんですよ。番組中にも鼻血が出てしまって、CM明けに「また明日~」と手を振るところを、鼻を手で押さえて、上を向きながら(笑)。
──そして番組開始から約2週間後、俗に「週刊文春喫煙事件」と呼ばれる不祥事が起きた。11人のうち6人がタバコを吸う姿を掲載されてしまいましたが。
友田 フジテレビがあった曙橋から乗り換えて、新宿駅の地下の喫茶店に入ったんです。まだ顔も売れていないから、吸っても大丈夫だろうって。あっ、その前に実は“伏線”がありまして。
──どんな?
友田 フジの局内の廊下で、ちょうど「禁煙」と書かれた貼り紙の前で、何人かと並んで写真を撮らされたんです。今思えば、いかにもタバコを吸っていそうに思われたんでしょうね。
──これは、どこかで吸うはずだ。そのために皮肉な写真を用意しておこうということですか。
友田 そういうことですね。カシャカシャッとシャッターの音がして、誰かが「あっ!」って言って振り返ったら、私のすぐ後ろで撮っていました。
──心臓が凍りつきましたか?
友田 私はちょうどタバコが切れていたので吸っている瞬間は撮られませんでしたが、それでも「ガーン!」という衝撃でしたね。
──ファンの間ではエース候補の呼び声も高く、直後に発売となった「セーラー服を脱がさないで」も、本来ならセンターで歌っていたはずだと。
友田 そう言われていたのは、最近になって知りました。それから局に謹慎を言い渡され、雑誌が出て6人のうち5人がクビということになりました。
──悔しかったですか?
友田 ‥‥それが、そんなに悔しいという感じではなくて。番組が大人気になっていくのも見ていましたし、名越美香ちゃんなど仲がいいメンバーとも時々は会ったりしていました。ただ、両親にタバコの箱は捨てられました(笑)。
──その後、独身のままですが、現在はオーダーメイドのバッグデザイナーとして活躍。カリスマモデルの黒田知永子など愛用者が多いそうで。
友田 高校時代の同級生だったとよた真帆ちゃんもオーダーしてくれるんですよ。あの高3の春の、一瞬でしたけど「おニャン子」として過ごせたのは、楽しかった記憶として今も残っています。