昨年12月、いわゆる「カジノ法案」が国会で可決し、いよいよ日本でもカジノが作られる機運が高まっている。これについて、都内の大手パチンコ店の店長は、
「カジノの客とパチンコの客は別ですから、共存共栄できると思っています。なんといっても駅前にサンダル履きで気楽に行けて楽しめるというパチンコの魅力は侮れないですからね」
だが、そう安穏としてはいられない驚くべき事態が、ひたひたと迫っているのである──。
パチンコのように手軽に行ける「ギャンブル場」は、世界中のどこにもない。そんな風向きが劇的に変わろうとしているのは、パチンコ店への規制が強化されていることによる。
「パチンコ店はお客さんを呼び込むためにイベントと称してタレントを呼んだり、出玉開放デーというような派手な宣伝を仕掛けていたんですが、4、5年前から、『自粛するように』と警察から指導を受けるようになりました。逆らうと違法台を使用しているのではないかとイチャモンをつけられますから、従っているのが現状です」(大阪のパチンコ店店長)
さらに今年7月、警察庁は突如、パチンコの出玉の上限を現在の約3分の2に規制すると表明した(パチスロも同じ基準で規制)。ギャンブル依存症対策という名目の下、来年2月1日の施行を目指すという。
これにより、1回の標準的な遊技時間とされる4時間で獲得できる出玉が5万円分を下回るようになる。
もう少し詳しく説明すると──。
現行の大当たりの上限がパチンコで2400個から1500個に、パチスロは480枚が300枚に規制される。そのために新台を入れ替えなければならず、パチンコ機器メーカーは一時的には儲かるかもしれないが、ホールは青色吐息になるというのだ。
1995年には約30兆円の売り上げを誇り、約3000万人が利用していたが、16年には約22兆円で、パチンコ人口は1000万人を切った。当然ながら、パチンコ店も全国で1万軒を割っている状況で、この規制は“斜陽化”にトドメを刺す一撃となりうるのだ。
「政府は徹底的にパチンコ店を潰す腹づもりです。最後の切り札として、景品の換金禁止も繰り出すようですから」(永田町関係者)
客のほとんどは換金を目的にホールに足を運んでいる。建て前上、ホールは客にボールペンやライターの石、地金などの景品を渡し、客はそれを景品交換所に持っていって現金を受け取る。ホールと景品交換所を運営する会社は別法人、無関係であることが前提になっている。関係があれば賭博行為に抵触するためだ。
景品交換所は「買い取った」景品を問屋と呼ばれる景品卸業者に売り、それを再びパチンコ店に卸す。そうしてグルグルと景品が回るのを「三店方式」と呼び、全国のパチンコ店で実施されているのが現状だ。