一方、被害者側の貴ノ岩だが、
「あなたたちの時代は終わった」
こんな発言を騒動の発端とする報道もあって、長幼の序を尊ぶヤクザ業界では「礼儀行儀をしつけた親方の顔が見てみたい」と批判の声が圧倒的だが‥‥。
貴ノ岩を擁護するのは、若手の有力株として名を馳せる四次団体組長だ。
「勝負事の世界では必ずウワサ話に尾ひれがついて回るもの」とし、こう語るのだ。
「“昨日の友は今日の敵”とはよく言ったもので、『これからは俺たち若い世代が業界を担う気迫で頑張ろう』と誓い合った兄弟分が、『オヤジたちの時代は終わった、なんて言ってましたよ』などと上に耳打ちしますからね。それに結局、酒の席での小競り合いだし、一度はお互いに頭を下げているわけじゃないですか。ケンカの続きは土俵でやればいいんです。ところが、組織に不満タラタラの貴乃花親方(45)が『なんだそのケガは! よし、警察だ!』でしょ。下の人間の気持ちを考えてないんですよ」
ヤクザも力士も「親が黒いと言えば白いものでも黒い」ということか。
さて、“親分”の強行突破によって四面楚歌の状況に置かれた貴ノ岩だが、相撲通の現役組員はこう言って引退説を否定する。
「負けん気が強いので、リベンジしか頭にないだろう。同じようなガチンコ力士といえば、稀勢の里、高安、嘉風、阿武咲、貴景勝、輝あたりかな。彼らもモンゴル勢に対して『このままじゃ済まさん』という思いがあるはず。それに、角界でガチンコを貫こうとするなら、もとより孤立は覚悟のうえ。現役時代からなれ合ってきた親方衆が、数の論理で貴乃花親方を糾弾するのは納得いかん」
ギャング風ファッションが取りざたされ、抗争の火種と見られる貴乃花親方は、依然として「沈黙と拒絶」のカーテンを降ろしたまま。だが、もしも伊勢ケ浜親方(57)との交渉のテーブルについていたら、どんな“掛け合い”が展開されただろうか。在京団体幹部が貴乃花親方になりきって実演する。
「お前は若い衆の教育もできんのか、オウ。これから大関、横綱になってバンバン稼ぐはずのうちの大事な若い衆(貴ノ岩)を、仮にも現役横綱であろう人間が“道具”を使ってぶん殴るとはどういうこっちゃ。こっちは後遺症でまた土俵に立てるかもわからんのに、そんな鼻息で飛ぶような詫びが受け取れるか。筋を通さんかい、筋を!」
その一方で、貴乃花親方を批判する声も上がっている。
「角界という大きな一家内において親戚組織の大幹部を警察に売り飛ばした事実に変わりはない。『あの親方とは巡業に行きたくない』ってのは白鵬個人の意見やなくて、多くの若手力士たちの総意なんやろ。そりゃ、警察にチンコロするようなやつが身内にいたら、タニマチが用意した女(スケ)も地方の愛人も安心して抱けんわい。ヤクザ業界ならば二度と復帰できない『赤(字)破門』が妥当。トップの八角理事長としては除籍させるしかないやろ。となると貴乃花親方は独立して新しい組を立ち上げるしかないわな」(在京団体組員)
ヤクザ業界の動向にならって、角界が「分裂」する日は訪れるのだろうか。