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2017プロ野球「行く年来る年」座談会(1)ブレなかったDeNA・ラミレス監督

 今年も残すところ1カ月を切った。ストーブリーグが騒がしいプロ野球界も、すでに来シーズンの足音が聞こえてくるほどだ。角盈男、駒田徳広、ギャオス内藤という歯に衣着せぬ御三方が、今季を振り返りつつ、来季の展望を語り尽くす!

角盈男 まず今季のセ・リーグだけど、前評判どおり広島が優勝したね。しかも2位以下に圧倒的な差をつけての連覇。黄金時代到来という感じになってきたな。

駒田徳広 とにかく打線が充実してますよ。リーグ一番の強力打線が若い投手陣を助けていた。

 最少失点で切り抜ければ勝ちの権利を得る。あるいは勝利するという経験を積むことで、投手は粘ることを覚える。点を失ったあとに逆転してくれるというような成功体験は投手を育ててくれるんだよね。

内藤尚行 就任3年目を迎えた緒方孝市監督のベンチワークも光りましたね。ベテランを休ませつつ、若手、中堅を適材適所で使っていた。目先の勝敗にこだわるだけでなく、将来を見据えた選手起用をしていました。

 FAなどの流動的な問題はあるけど、現状では投打ともに選手層がリーグ屈指だな。今後もセを牽引するチームになるだろうね。その広島に唯一勝ち越したのがDeNAだった。リーグ3位ながら下克上で日本シリーズに進出。優勝争いの興味が薄れた終盤戦を盛り上げた功績は、評価大と言っていいだろう。

駒田 ラミレス監督はシーズン前から「スモールベースボールはやらない」と言っていましたが、最後までブレなかった。盗塁39、犠打84はいずれもリーグ最少。トップの広島が112個も走り、116の犠打を決めたのとは対照的でした。

内藤 とにかく選手の力を信じて自由に打たせることに徹しましたよね。選手時代のラミちゃんは、見かけによらず対戦投手の分析に熱心だった。監督に就任してからも、試合前、ゲームに関するあらゆるデータを確認しているそうです。選手を送り出すまではデータを重視して、活躍度の高い人間を大胆に起用する。いったん送り出したら、細かいことを言わずに選手の自主性に任せるというスタイルですね。

 ポストシーズンはヤクルト監督時代の野村克也さんに似た采配だったね。このタイプの監督は、CSや日本シリーズには強いよ。

駒田 不利と言われていた日本シリーズでも、3連敗から2つ盛り返して6戦まで持ち込んだもんね。

内藤 営業努力のかいもあって、観客動員数は球団史上最多(197万9446人)を記録しました。青一色で埋まるハマスタのスタンドは圧巻。まさに球団、ファン、選手が一丸となっての躍進でした。今季の経験はチームにとって大きな財産になったはずです。

駒田 ただ、今のままの戦い方では、短期決戦で勝てても長丁場のペナントレースは乗り切れない。実際、広島には14.5ゲームも離されたわけだから。その点はラミレス監督もわかっているようで、シーズン終了後に盗塁と犠打の増加を課題にあげていた。そこを克服できれば、来季は間違いなく台風の目になるね。

 一方で期待を大きく裏切ったのが巨人だよ。初めてCS出場を逃したうえ、13連敗という球団ワースト記録まで作ってしまった。

内藤 ブレなかったラミレス監督に比べると、巨人の高橋由伸監督には“ブレ”が目立ちました。一例をあげれば、送りバント。打者が2ストライクに追い込まれると、スリーバントをさせずにあっさりとヒッティングに切り替え、結局、走者を送れない、という場面がけっこうありました。

 投手陣の数字は悪くなかったんだよな。チーム防御率はリーグトップだし、失点もリーグ最少。菅野智之が最優秀防御率と最多勝の二冠で、マイコラスは最多奪三振に輝いた。4年目の田口麗斗だってリーグ左腕最多の13勝だからね。

内藤 その3人で「貯金27」も稼いだのにBクラスだったのは、慢性的な先発投手不足が原因でしょうね。

<座談会メンバー>

角:(角盈男)/駒田:(駒田徳広)/内藤:(ギャオス内藤・内藤尚行)

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