昨シーズン、3位からのクライマックスシリーズ勝ち上がりで、日本シリーズにまで駒を進めた横浜DeNAベイスターズ。2010年に千葉ロッテマリーンズが、同じくシーズン3位から日本一にまで上り詰めた様を「下克上」と言ったことから、横浜についても同様の呼び名がついたことはファンの記憶に新しい。ところが、その横浜で、新たな「下克上」がファンたちの間で起きているようなのだ。事情に詳しいスポーツライターに聞いた。
「横浜は、1998年のマシンガン打線での優勝以降、かなり長い間低迷したので、古いファンほど“自虐的”な部分があり、勝ち続けていても『今日は負けそう』などと思うもの。暗黒時代を経験した阪神ファン、後楽園球場時代の日本ハムファンも同じだと思います。ところが、新規…というより、昨シーズンの『3位からのCS出場』のムードでファンになったファン層は、万年Bクラスだった過去なんてどこ吹く風。応援スタンドで古参ファンが『今日はオレが見に来てるから負けるな』なんて古参ファンが冗談を言おうものなら、『戦う前から負けるなんて言うな!』『お前みたいなヤツは球場から去れ!』とケンカ腰で詰め寄りモメ事にまで発展させることも。そんな“意識高い系ファン”が急増したというのです」
チームが強くなれば球場にファンは増える。人気球団になっていくためには避けて通れないことなのかも知れないが…。
「DeNAはかねがね、マルハやTBS時代の弱小ムードから脱却したいという思惑があったようです。初年度に、いきなりファンが毛嫌いする巨人から、OBの中畑清氏を招聘し、監督に据えたのもそう。結果、チームのイメージは明るくなったことについては、成功と言えるかも知れませんが、古参ファンにしてみれば、『イメージ先行でチームは弱いまま』という不満が多かった。でも、実は、こうした声を上げる古いファンをもう切り捨て、新しいファンに入れ替えるべきという声が球団内部からは上がっていたんです」(前出・スポーツライター)
今季から、本拠地の横浜スタジアムの座席がすべて“横浜ブルー”化。3年目となるアレックス・ラミレス監督のもと、さらにイメージ一新が掲げられている。ちくわにかぶりつきながら、野次を飛ばして野球を見たいファンは、いささか居心地が悪くなるのかも知れない。