横浜DeNAベイスターズが苦境にあえいでいる。3連敗、5連敗と大型連敗を繰り返し、波に乗り切れない。ムードの悪さを象徴する、新指揮官・ラミレス監督(41)への風当たりが強くなるばかりなのだ。
ラミレス監督は、現役時代の輝かしい経歴と人気面が評価され、10年連続Bクラスに沈んでいる古巣の再建を今季から託された。ところが、蓋を開けてみれば開幕からいきなりの失速。救世主となるべき男の手腕に早くも「?」が飛び交い始めているのである。
「現役時代に同僚選手に対してアドバイスを送っていた時は的を射ていたが、監督になって頭がパンクしているのではないか」(球団関係者)
さらには、指導ばかりか雰囲気作りも期待外れだと、身内からダメ出しの声が上がりだしたという。
実を言えば、その兆候はすでにあった。昨年10月19日にDeNAはラミレス監督の就任を発表している。球団史上初の外国人指揮官の誕生で沸き返ったが、この直後から一部の関係者は不安げな表情を浮かべ始めていたのだ。
「ラミレスが就任会見で『パフォーマンスはやりません』と言ったからですよ。あの言葉を聞いたウチの幹部数人は卒倒しそうになった。なぜなら、ラミレスに監督のオファーをかけた際、その条件として『ファンサービスを重視する意味で、ぜひパフォーマンスもやってほしい』と伝え、本人は快く了承していたんです。それが、こうもアッサリと約束を反故にしてしまったのですからね。会見後に高田繁GM(70)も『何か嫌な予感がするな‥‥』と周囲にボヤいていました」(前出・球団関係者)
現役時代には「アイーン」や「ゲッツ」など本塁打を放ったあとに行う数々のパフォーマンスで一世を風靡した。ところが、交渉の席でOKしていながら、いざ監督になると公の場でいきなりのパフォーマンス封印を宣言したのだ。
戸惑う高田GMや他の幹部たちにラミレス監督は「もういろいろと注文はつけないでくれ。どうか私を信じてほしい」と通告するなど、今やすっかり開き直って強気に出続けているという。
こうした豹変ぶりに激怒した超有力な元チーム関係者が1人いる。他ならぬ前監督の中畑清氏(62)だ。12年から2シーズン、ラミレスとは監督、選手の関係で過ごしている。お互いが明るいキャラの持ち主で当時は“共同パフォーマンス”の披露もあったほど。だが、立場が変わった現在、両者の関係はすっかり複雑化してしまったようだ。メディア関係者がこう明かす。
「オープン戦期間中に中畑さんはラミレス監督を何度か激励に訪れたのですが、決まってラミレス監督の態度が素っ気なく、中畑さんはまるで小バカにされたような感じになった。だから周囲に『アイツはいったい何様なんだ?』と目をつり上げて怒っていました。チーム関係者から、ラミレス監督がパフォーマンスを封印するという話や、球団幹部に『私は中畑サン以上の仕事をする』と言い回っていた事実を聞かされていたからでしょう。中畑さんは『オファーを受けた時には平身低頭で“何でもやる”と言っていたのに、監督になったとたんに手のひら返ししやがって、とんだペテン野郎だ。アイツは二重人格なんじゃないのか』とブチ切れていたそうです」
本来ならば強い援軍となるはずの中畑氏を怒らせてしまったのは、大きなマイナス要素だろう。
しかしながら、ラミレス監督にプラス材料が一つもないわけではない。現役時代から見せていた相手バッテリーの配球を入念に分析する能力は健在。まだ空回りしている様子だが、オープン戦途中までルーキー正捕手・戸柱恭孝(26)にベンチからサインを出し、“遠隔指導”で鍛え上げるなど、若手育成に能動的な姿勢を見せ、一定の成果も出してはいる。
まだシーズンは始まったばかり。ラミレス監督は現役時代の逆転アーチのようにチームのピンチを救い、同時にみずからの「二重人格疑惑」も払拭することができるか──。