さて、今季の開幕前の大きな話題の一つは、レンジャーズのダルビッシュ有(26)がどれだけ通用するかだった。
「速球投手のイメージがあるダルだが、今季のデータを見ると、変化球が全投球の50%を占め、変化球投手と言えます。変化球の中でも36%を占めるスライダーとカットボールが決め球です。シーズン途中で移籍してきた捕手、ソト(29)と組んでから防御率も2・35と良化しています。WARも4・0で、年俸の約3倍の働きはしたことになります」(友成氏)
ただ、克服しなくてはならない課題もあるようだ。
「よく『ボールが滑ってどうしようもない。これじゃあ3年もできない』と気にしています。WBCへの不参加も『しっかりアジャストさせてレギュラーシーズンで結果を出したい』との理由から。英語も驚くほど堪能で、スペイン語まで習得しようと意欲的です」(前出・メジャー担当記者)
同じくレンジャーズの先輩投手、上原浩治(37)もいぶし銀の活躍を見せた。
「1イニング当たり、自分の責任で許した走者の数を示す数値WHIPでは、ア・リーグのリリーフ投手の中でNO1の低さでした」(友成氏)
さらに、発奮材料が好成績につながったと前出のメジャー関係者は話すのだ。
「ダルばかりに注目が集まり、『雑草魂に火がついた』そうです」
メジャーに慣れたシーズン後半は8勝、防御率2・50という好成績を収めたのが岩隈久志(31)。友成氏によれば、
「後半戦の成績はア・リーグNO2。スプリッター(フォーク)が25・2%を占め、直球に速さがない分、同じ速度で繰り出す変化球で打者をしとめました」
イチローに相当な気を遣っていたという岩隈だけに、イチローの移籍が好影響を及ぼし、神経をすり減らさずに済んだと分析する現地記者もいるという。
最後は、右肘手術とリハビリから復帰したものの惨憺たる成績で、メジャーに残留しても買い叩かれるのは確実視されている松坂大輔(32)を見てみると‥‥。これまた松井同様、4億8000万円もの損害賠償請求をされる立場なのだった。
「松坂が受けた肘の靭帯再建手術、いわゆる“トミー・ジョン手術”は感覚が戻るのは2年目からと言われる。本人は『はいつくばってでも結果を出したい』と燃えています」(前出・メジャー関係者)
はたして「借金」を返済して余りある働きを見せてくれるかどうか─。