西郷隆盛を主人公としたNHK大河ドラマ「西郷どん」が歴史好きや幕末好きの視聴者から不興を買っている。ストーリーに史実と異なる箇所があまりにも多すぎて、もはや“ファンタジー”と化しているというのだ。
「1月5日発売の写真週刊誌『FLASH』では、同作品の時代考証を担当する原口泉・志學館大学教授が史実との違いを指摘。藩主・島津斉彬らがお忍びで江戸から薩摩に帰るシーンや、下戸だった西郷が酒を飲み明かすシーンなど、現実にはあり得ない箇所を次々とあげています。その記事に対して視聴者からは『こんなにも史実と違っているとは…』という戸惑いが聞こえてくるとともに、『みんなそんなに史実にこだわってるの?』と“ファンタジー大河”を歓迎する向きもあるようですね」(テレビ誌のライター)
確かに前作の「おんな城主 直虎」では、主役の女領主・井伊直虎からして資料が少ないことからドラマ内では多くの部分が創作されていた。それでもファンタジーとの批判はさほどでもなく、むしろ主演・柴咲コウの美しさが話題になったりしたほどだ。
ただ今回の「西郷どん」では主役の西郷隆盛が歴史的に相当な有名人であることに加え、明治という近代まで存命だったことから、過度のファンタジー化には懸念の声が少なくない。なかでも今から心配されているのが、最終回における史実の改変だというのだ。
「西郷隆盛は1877年(明治10年)の西南戦争にて自刃を遂げており、その際に発したとされる『晋どん、もうここらでよか』との言葉はあまりにも有名。ところが一部には、実は自刃せずに海外に逃げたという西郷隆盛生存説を唱える人たちもいます。通常は一顧だにされないこの生存説ですが、『西郷どん』のファンタジー化に危機感を覚える視聴者からは『まさか最終回で西郷隆盛が海外に脱出していたりしないだろうな』と危惧する声があがっているのです」(テレビ誌ライター)
最近は妙にエンタメ路線に走っているNHK。生存説に始まり、東京・上野公園の西郷隆盛像がCGで動き出すといった演出は、ぜひご勘弁いただきたいものだ。
(金田麻有)