ついに2月9日に開幕した平昌五輪。日本代表は、過去最高のメダル数獲得が期待される中、金メダルの大本命と評される羽生結弦の周囲が騒がしい。ケガの回復もさることながら、ここにきて、スケート連盟との深刻な冷遇確執も浮上。はたして「絶対王者」は周囲の雑音をハネ返すのか!
開会式から1週間後の2月16日からスタートする男子フィギュアスケート。目下一番の注目は、羽生結弦(23)のケガの回復具合だろう。羽生は昨年11月のNHK杯の公式練習中に、4回転ルッツを敢行したところ転倒。右足関節外側靱帯損傷と診断されて、今回の平昌五輪が復帰の舞台となるのだ。フィギュアスケートを長年取材しているスポーツジャーナリストも顔を曇らせる。
「正直言えば、五輪代表最終選考会となる昨年12月の全日本選手権も欠場したほどで、ケガの状況はかなり悪く、欠場すらほのめかす関係者もいるほど。ただ、羽生本人は絶対に強行するでしょうが、今も予断を許さない状態であることは間違いない。五輪もぶっつけ本番になるでしょう」
だが、羽生サイドも漫然とケガの回復を待っているだけではない。男子フィギュアでの五輪連覇ともなれば、52年オスロ五輪のディック・バトン以来、66年ぶりの快挙となるだけに、ある秘策を検討していたのだ。前出・スポーツジャーナリストが明かす。
「実は、四大陸選手権の欠場が伝えられた際に、9日の開会式直後の団体戦SPに強行出場するプランがあったのです。というのも、前回金メダルを獲得した、いわばソチ五輪と同じパターンのスケジュールで臨み、リンクのイメージをつかんで一度、五輪リンクで滑り、本番の個人戦でV2というシナリオでした」
まさに羽生にとっては、ケガからのぶっつけ本番を回避できるだけでなく、4年前のパーフェクトな演技ぶりの再現も予感させるだけに、ベストな復帰プランとも言えるものだったが‥‥。
「この羽生サイドの申し出に対して、スケート連盟側の対応は実に冷たいものでした。『それはいかがなものか。団体戦に出場するのであれば、SPとフリーはセットで』と木で鼻をくくったもの。連覇のための団体戦出場は『ノー』と言っても羽生が団体戦に出場すれば、日本代表チームへの貢献は間違いない。これでは橋下聖子会長が羽生に対して公言してきた『スケート連盟は全力でバックアップする』という言葉とは裏腹の対応ですよ」(前出・スポーツジャーナリスト)
いわば、羽生はスケート連盟のバックアップも期待できず、文字どおり単身で五輪に乗り込むことになりそうなのだ。