アイドルオーディション番組「ラストアイドル」(テレビ朝日系)を母体にするプロジェクト「ラストアイドルファミリー」による初のワンマンライブが2月14日、東京・Zepp Tokyoにて開催され、超満員の観客が新しく誕生したばかりのグループによるパフォーマンスに熱狂した。
同番組は、AKB48グループを率いる秋元康氏が新たなアイドルグループを作り出すべく昨年8月にスタートさせたもの。現在放送中の2ndシーズンでは秋元氏に加えて小室哲哉、織田哲郎、指原莉乃、つんく♂の5人がプロデュースを担当。番組から生まれた5組のアイドルグループが、次期シングルの表題曲を賭けてバトルを展開している。そのワンマンライブを観た業界関係者からは、「このライブを若いアイドルに見せてはいけない」との声が出ているという。アイドルにとっては大いに刺激を得られそうなライブだったが、なぜ見せてはいけないのだろうか。
「今回のライブは秋元氏のプロデュース力と、テレビ局が本気で仕掛けた時の爆発力をまざまざと見せつけました。番組内で結成された5組はド新人グループそのもので、普通であれば小さなライブハウスでの対バンイベントで10~15分程度の持ち時間を与えられ、目の肥えたファンから吟味される段階のはず。それがいきなり『Zepp Tokyo』という大舞台を与えられ、出演メンバーたちは完成度の高い楽曲をひっさげて堂々たるパフォーマンスを披露。満場のファンから大喝采を浴びていました。こんな夢舞台を見せられたら、若いアイドルは『自分はチャンスに恵まれないちっぽけな存在だ』と落胆してしまいかねません」
そのワンマンライブに対しては、テレビの力で新人を売り出す古典的な手法との批判もあるようだ。が、前出の業界関係者は、そうした見方を否定してみせる。
「注目すべきは、数カ月前まで未経験だったはずのメンバーたちが、高い完成度のパフォーマンスを見せたことです。もちろん秋元氏やつんく♂といった高名なプロデューサーが曲を用意し、プロの振付師が専属でダンスを指導し、レッスン場も衣装も用意されるという恵まれすぎた環境にあることは間違いありません。しかし見逃してはいけないのは、この日ステージに上がった25人は誰一人脱落することなく厳しいレッスンに耐え抜き、全員が笑顔満面のパフォーマンスを披露したということ。それは決して彼女たちが特別なのではなく、アイドルを目指す女の子にはそれだけの可能性があることを示したのではないでしょうか。それゆえ今回のワンマンライブはアイドルにではなく、運営側にこそ見せるべきだと感じましたね」
アイドルが乱立する今、素人同然の運営に振り回され、日の目を見ることなく消えていく若手アイドルも珍しくない。そんな状況の中で今回の「ラストアイドル」は、舞台を用意してあげることで誰にでも輝ける可能性があることを示したのではないだろうか。
(金田麻有)