メキシコのサッカー1部リーグ・パチューカに所属するMF本田圭佑が2月28日、スポーツを賭けの対象とする「スポーツベッティング」の運営会社に出資したと明かした。本田はツイッターにて「ジャングルXというスポーツベッティング会社に出資しました。手数料0、売上をアスリートに還元。まさに改革」と報告している。
このジャングルXは日本企業ながら、イギリスでの賭博運営に必要なゲーミングライセンスを2016年に取得。そのイギリスをはじめとする欧米諸国ではスポーツでの賭けは広く楽しまれており、アメリカではラスベガスのカジノにスポーツベッティング用のスペースが設けられている。だが今回の本田の出資には大きな問題が潜んでいるというのだ。スポーツ系のライターが指摘する。
「スポーツベッティングそのものは規制当局の監視下にあり、法的にも何ら問題のないクリーンなビジネスです。ただし、それに現役の選手が関与するとなると話は別。というのもプロスポーツリーグのほとんどでは、関係者がスポーツベッティングに関わることを明確に禁じていますからね。日本ではそもそも賭博自体が禁止されていますし、イギリスではFA(イングランドサッカー協会)が14年8月1日に新たな『ベッティングルール』を施行。同ルールではサッカーに関与するあらゆる人物に、スポーツベッティングへの関与を禁じています。本田の場合はベッティングを行うのではなく、運営会社への出資という形ではありますが、これが欧米のリーグでどう評価されるかは微妙なところでしょう」
プロスポーツ界ではこれまでに、賭博関連の事件が何度となく発生。古くは1919年のシカゴ・ブラックソックス事件が広く知られているほか、最近では07年のNBA賭博事件にて主犯格の審判が懲役15カ月を宣告されている。そして欧州サッカーでも09年に、UEFAチャンピオンズリーグを含む200もの試合で八百長行為があったと認定され、多くのベッティング関係者が有罪を宣告された経緯があるのだ。
「それゆえプロスポーツ界ではベッティングへの規制を強めています。その中で本田は『売上をアスリートに還元』という大義名分はあるものの、現役選手がベッティング事業に関与するという、大きすぎる一歩を踏み出しました。これで仮に何らかのベッティング関連事件が発生したら、最悪の場合、本田がサッカー界から追放されてしまう恐れもあるでしょう」(前出・スポーツライター)
もちろん本田自身は賭博スキャンダルへの関与など微塵も考えていないのは間違いない。選手に還元したいという真摯な思いが評価されればいいのだが、今回の出資話がどう展開していくのか、注視され続得ることになりそうだ。
(金田麻有)