「外でスポーツをする子供、特に野球少年を抱える家庭では、必須の石鹸。どんなに泥んこになって帰宅しても、これで手洗いすればユニフォームが真っ白になると言われています。『野球部に入部の際に用意するもの』に書かれているほどです」
こう指摘するモノ雑誌ライターが示したのは、発売から60年以上が過ぎて再ブームになっている「ウタマロ」なる石鹸である。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)で紹介されたことがきっかけだという。
洗濯機と液体洗剤の普及により、「ウタマロ」は一時、廃番の危機に陥っていた。先のモノ雑誌ライターは、
「高性能な液体洗剤やオキシクリーンといった酵素系漂白剤が市場に出回り、手洗いで辛い思いをする石鹸より、簡単に洗濯機に入れて真っ白になる洗剤へと、人気は移っていきました。それでも頑固な汚れを落とす『部分洗い』は手でゴシゴシこするのが一番だ、という口コミがあった。そんな声を拾い上げて地道にプロモーションを展開したのが『ウタマロ』でした。スティック状にしたり、小さくカットするなど、独自の使い方も『裏技』としてSNSで拡散。根強いファンがついています」
このウタマロ石鹸は、年間1200万個を売り上げているという。草野球が趣味の夫と、クラブチームで野球にいそしむ息子を抱える女性は、
「真冬に泥だらけのユニフォームを手洗いするのは辛いですが、結局はつけるだけの洗剤だと落ちないんですよ。今はシュッシュッと吹きかけるクリーナータイプもあるし、ウタマロって名前もレトロで可愛い。環境にも優しいというので、重宝しています」
時代は巡って「やっぱり石鹸」なのである。