復活勝利をあげた中日の松坂大輔(37)が名古屋に大フィーバーを巻き起こしている。早くも周囲は将来的な「囲い込み」に動き出したというのだ。
今季3度目の先発となった4月30日の横浜DeNA戦。6回を投げ1失点にまとめ、国内では実に12年ぶりとなる感動的な復活白星を手にした。
そのニュースは地元名古屋だけにとどまらず、東京のスポーツ各紙も「松坂復活」を1面で派手に報じたのだ。7四死球6奪三振の大荒れピッチングだったが、評論家の間からは「適度に荒れて、変化球が多彩だから的をしぼりにくいんですよ。今後、ケガさえしなければ6~7勝はするんじゃないですか」という評価まで聞こえてくる。
全盛期とはうってかわった変化球を軸にした技巧派へのモデルチェンジ。それが奏功しているとの見方だ。
思えば、ソフトバンクでは3年間で1イニングしか投げずに退団し、「史上最大の給料泥棒」とも呼ばれた。が、西武時代から親交のある森繁和監督(63)、デニー友利国際渉外担当(50)の縁を頼ってテスト入団した中日で、いよいよ復活の兆しを見せている。チーム内での松坂の評判も上昇中だ。
「カリスマなのに偉ぶらないので慕われ、単身赴任のため、食事にもよく若手を連れていくといいます。メジャーの経験談を聞きに来る選手も少なくありません。マウンドでの堂々としたプレートさばき、責任イニングを投げ切ろうとする姿勢で現場の評価はアップ。球団が要請するファンサービスなどにも協力的で、取材も断らずに受けるのでメディアも含めた評判が上々となっている。これで年俸は1500万円。球団は安い買い物をしましたね」(名古屋のメディア関係者)
松坂が初勝利した試合は今季最多の観客動員をマーク。ナゴヤドームに閑古鳥が鳴く人気低迷チームの救世主となり、グッズ販売も好調で収入増を果たせたこともあり、フロントサイドもホクホク顔なのである。
そんな好景気を追い風に、いささか気の早いプランが急浮上しているというのだ。
「来年、あるいは再来年に中日で引退を迎えてもらい、そのまま将来の指導者として球団に残ってもらおうという声がフロントから出ているんです」(球団関係者)
松坂には日米でのすばらしい実績があるだけでなく、ケガや挫折を味わって苦労を重ねた。カリスマ性に加えて指導者として必要な人間の幅を広げたことが評価を高めているという。
そして、「松坂監督プラン」を最も願っているのが森監督。そもそも監督就任時に「俺は次への中継ぎ」と公言していた。いつでも次期監督へバトンを渡す準備はできていて、退任後は新GMとしてチームに残り、“院政”を敷くことを虎視眈々と狙っているというのだ。