歌手の西城秀樹さんが亡くなった。享年64歳だった。彼は酒好きで愛煙家、そして、大のサウナ党だったという。そのサウナが悪いんじゃないかという声が広がっている。
5月16日、急性心不全のため亡くなった西城さんは、2度の脳梗塞を乗り越え、リハビリに励み奇跡の復活を果たしたはずだった。かつて西城さんはテレビや雑誌でこう語っていた。
「リハビリはつらい。やさしいものは何一つない。でも、がんばっている」
また、西城さんの元マネージャーは、こう語っている。
「84年に低髄液圧症候群で入院していて、さらに糖尿病でした」
そして、倒れる前は1日にタバコを3~4箱、1晩でワインを2本空けていたともいい、大のサウナ党だったという。こうしてみると、身体に悪そうなことばかりやっていたような印象さえ受けてしまう。そして中でもサウナは心臓に負担をかけそうにも思える。巷では西城さんの悲報を受けて、「長嶋(茂雄)もサウナ、若島津もサウナが原因で倒れている」「TOKIOの松岡昌宏もサウナで倒れている」と、過去のサウナ好き有名人と疾患の関係が改めて思い出され、サウナが身体に悪いという「サウナ悪者論」が、ますます蔓延しそうな気配だ。ところが、脳神経外科を担当している佐藤利隆医師は言う。
「サウナと脳梗塞には因果関係はありません。むしろ逆で、サウナの本場・フィンランドでは、“サウナに入る回数が多い人ほど、脳卒中になる確率が下がる”という研究結果も出ているほどです」
またスポーツジムの渡部文インストラクターもこう言う。
「サウナは汗を流して体重を減らすのではなく、毛細血管まで温めて血液の流れを活性化させる目的で入るもの。それゆえ、新陳代謝を促すので、むしろ脳卒中(梗塞や出血)の予防になる」
とはいえ、何事もほどほどにやることが肝要。高温サウナに長時間我慢して入るオヤジの“根性サウナ”はそれこそ命取りになりかねない。
「65度くらいの低温サウナに約15分ほど入るのが理想的」(渡部インストラクター)
ただし飲酒後のサウナは自死行為。飲んだら入るな!だ。
(谷川渓)