金本阪神は5月22日、24日の対ヤクルト戦こそ勝利したが、その前までは、4カード連続の負け越しを喫してしまった。負け越しが決まった試合の後、阪神ベンチから漏れ伝わってきたのが、金本知憲監督とベテラン・鳥谷敬の緊急会談だ。
「鳥谷には連続試合出場の記録が掛かっています。5月24日時点で1936試合。球団としては故・衣笠祥雄氏が持つ2215試合の記録を抜いてもらいたいと思っていますが、今のチームはあまりにも打てません。金本監督とすれば、打撃不振の鳥谷を試合に出す保証が持てないというわけです」(在阪記者)
金本監督も打線低迷の責任を鳥谷に押しつけるつもりはない。だが、采配を批判する声も聞かれた。
「坂井信也オーナーが抜き打ちで二軍戦を視察していたんです」(球界関係者)
その抜き打ちは4月19日にさかのぼったものだが、グループ本社の要人でもある球団オーナーがアポなしで、それも、二軍球場というのはおかしい。「低迷する一軍への当てつけ」ではないだろうか。
「一軍と二軍で大きな差ができてしまいました。二軍は44試合で75盗塁を記録しています。オーナー視察時点で二軍は25試合42盗塁、一軍はたったの『1』でした」(前出・球界関係者)
“当てつけ”が利いたのだろう。一軍もGW期間で一気に盗塁数を15まで増やした。打率の低さを走塁で補おうとしたわけだが、長く続かなかった。打撃好調の上本は二盗スライディングに失敗して、故障離脱。植田、大山らが失敗して好機を潰す場面もあった。
「上本が離脱してからまた走らなくなってしまいました」(在阪記者)
「失敗しても」の姿勢を一貫させなければ、チームに機動力は定着しない。一軍選手は失敗した時の「喝」がコワイらしく、走らなくなってしまった。金本監督は長期政権と目されていたが、躍動感あふれる二軍を見て、オーナーも考え直したのではないだろうか。
(スポーツライター・飯山満)