この先の宝塚記念で春競馬は終了するが、続きまくったGI戦は、先週の安田記念をもって一段落。競馬記者としては肩の荷が下りた思いで、ホッと一息つくところだが、それでも競馬開催は終わることなく続いていく。
夏のローカル競馬も間近に迫り、2歳(新馬)戦もスタートするとあっては、ファンの関心事は、来春の桜花賞、ダービー馬は、いずこに──ということだろう。
その意味で今週のメインがGIII戦なのは興味を削がれるが、お目当ての2歳新馬のデビューを見届けようと心待ちにしているファンにとっては、その旅費稼ぎの格好のレースと言っていいのが、今週のエプソムCだ。GIIIの別定戦ではあるが、特に大きく荒れることのない、順当に収まる重賞だからである。
馬単が導入された03年以降、これまでの15年間、その馬単で万馬券になったのは、わずか2回(馬連では0回)。この間、1番人気馬は5勝(2着4回)、2番人気馬は3勝(2着3回)。ほぼ順当に収まる重賞と捉えてよく、本命党向きのレースと言ってよさそうだ。
それでは、もう少しデータをひもといてみよう。
今がピークに向かって上り坂にある4歳馬が圧倒的に強い。過去15年間を見てみると、4歳馬が9勝(うち牝馬1勝)、2着7回というもの。このへんは年齢的に最も充実していると思われる5歳馬(5勝、2着5回)を大きくしのいでいる。
その次が6歳馬の1勝(2着3回)で、7歳以上の馬は連対を果たしていないことを思うと、明らかに4、5歳馬に目をつけるのが筋。特にその中で距離、コース(東京)を得手としている馬に白羽の矢を立てるべきなのだろう。
最も期待を寄せてみたいのは、5歳馬のブラックスピネルだ。
前走のメイSは7着に敗れたが、好位につけながら直線失速してしまったのは8カ月半ぶりの実戦が影響してのもの。本来の姿に戻っていなかったのだから、やむをえまい。
しかし、最初から目標はエプソムC。この中間は陣営の思惑どおりに大幅な良化ぶりを見せていて、1週前の追い切りは軽快かつリズミカルだった。
「雰囲気がいい。馬体も締まって走る気が出てきた。力を出せる状態にある」
こう仕上がりのよさを強調するのは音無調教師。ならば期待していいのではないか。
左回りはスムーズで、距離の1800メートルは最も得意とするところ。アロンダイト(ジャパンCダート)、マリアライト(宝塚記念、エリザベス女王杯)など、近親、一族に活躍馬がズラリといる良血。走りっぷり、血統から、道悪も上手なはずだ。晴雨にかかわらず、大きく狙ってみたい。
関西のマーメイドSは、牝馬同士のハンデ戦。これまでの結果が示すとおり、一筋縄でいかない穴党が出番の一戦と言っていい。
ということで狙ってみたいのは、人気薄のヴァフラームである。
まだ準オープン(1600万条件)の身。近走の成績もイマイチとあって評価は低い。しかし、ハンデは恐らく50キロ。この軽斤量なら十分勝負になっていい。
もともと素質のよさから期待されていた馬。前走の緑風S(東京)は一息入ったあとで、落ち着きがなく、本調子になかった。
今回は相性のいい阪神での競馬。先行しても後ろから行ってもよい自在脚質も魅力である。アドマイヤムーン(ジャパンC、宝塚記念)や、ヒシアマゾン(エリザベス女王杯、GI阪神3歳牝馬S)など、近親、一族に活躍馬がキラ星のごとくいる良血。良馬場条件に期待大だ。