視聴率の低迷が危惧される「石橋貴明のたいむとんねる」(フジテレビ系)が、なりふり構わぬオヤジ路線で、高年齢視聴者の心をつかみつつあるようだ。6月11日の放送では1961年生まれの同級生である高橋克実をゲストに迎え、「1960年代生まれが死ぬほど欲しかったアレ」をテーマに、1970年代に流行ったアイテムを紹介した。それらのアイテムについて、同じ60年代生まれのライターが解説する。
「この日はマジソンバッグやフラッシャー自転車、『TVジョッキー』(日本テレビ系)の白いギターやソニーの短波ラジオなど、石橋世代が学生時代に欲しくてたまらなかったアイテムを次々と紹介。しまいには『ケンメリ』こと4代目・日産スカイラインが実車で登場し、40代以上の視聴者は大喜びしました。またテレビゲームの『インベーダー』をプレーした石橋の自機がやられたシーンでは、石橋が自分の失態をさらりと見せたとして、視聴者を驚かせていました」
そんな時代ものアイテムだらけの放送に視聴者が不満を抱くかと思いきや、ネットには「おもしろかった!」「オレもアレが欲しかった」といった絶賛の声が続出。これまでさんざん批判を浴びせられてきたのと同じ番組とは思えないほど、肯定的な声を集めたのである。この変容ぶりについてテレビ誌のライターが指摘する。
「これまでは80年代テレビ業界や昔のお笑い番組、大物芸能人の話など、古いテーマを扱いながらも若い視聴者に楽しんでもらおうという意図が透けて見えていました。それが今回は一転して『若いヤツは観なくていい!』とばかりに昔語りを徹底。学生かばんを茹でたうえでワイヤーを使って細くした話など、若い視聴者には想像もつかない話で盛り上がったのです。その思いっきりぶりはもはやカルト番組とさえ言えるほどで、狙いはズバリ当たったようですね。オヤジ世代からはこの調子で昔の話題をもっと取り上げてほしいとの声も出てきそうです」
ちなみに「TVジョッキー」のギターは石橋の私物とのことで、高橋が思わず「すげぇ!」と叫んだシーンではオヤジ視聴者たちも同じように「すげぇ!」と叫んだはず。今後も70年代懐古路線の徹底が望まれているようだ。
(金田麻有)