やはり「精神疾患を抱えて死亡、土葬」という北朝鮮の主張はウソなのか。
北朝鮮に短期留学した経験のある関西大学の李英和教授(北朝鮮社会経済論)は91年、留学先の教官から「拉致講義」を受けたというが、その内容は衝撃的だった。
李教授によれば、北朝鮮は対南工作員の大量養成が必要になり、その訓練の一環として日本人拉致を敢行。潜入訓練完遂の「証拠品」として日本人の拉致を実行したのであって、工作員養成や日本語教師をさせるなどの目的を持ったものではなかった。そのため、拉致対象者の年齢、性別、職業は問われず、日本海側の浜辺で手当たりしだいに拉致し、当時まだ中学生のめぐみさんもたまたま、それに含まれたのだという。
北朝鮮に連れて来られた被害者については、「絶対に死なせるな」という厳命の下、工作機関が管理・監督責任を厳しく背負わされるため、事故や病気での死亡を厳格に防ぐことになる。たとえ本人が死にたいと思っても、自ら命を絶つこともできないという監視下に置かれたのだ、と。
北朝鮮が海外活動で稼いだ裏マネーの資金洗浄を担っていた、マカオ在住の北朝鮮協力者によれば、
「北朝鮮国内で、多くの拉致被害者が生活しているのを目撃している。これは数年前のことだが、日本語を教える教官のような立場で、同胞、現地人を問わず、結婚してきちんとした生活をしていた。洗脳されてしまっているのか、もう逃げたいという考えもないように見えた」
「拉致講義」によれば、北朝鮮は拉致被害者を非常に優遇しており、
「たとえ病気になったとしても、治療には全力を尽くすと考えられる。めぐみさん病死の信憑性を疑う理由はここにもあるでしょう」(ジャーナリスト)
トランプ大統領の「あとは両国間で解決を」という言のとおり、めぐみさんをはじめとする拉致被害者の奪還のため、今後は日朝首脳会談の実施が鍵となる。官邸関係者が語る。
「北朝鮮が出してきたリストの範囲内にとどまらない交渉が要求されます。すでに8月から9月の開催を目標に水面下の折衝が始まっており、アメリカもそれを後押ししている。安倍総理が平壌に行くか、あるいは第三国のモンゴル、あるいは中国・大連あたりで会談が行われるはずです」