競馬をなりわいにしていると、時の移りが早い。今週から秋競馬が開幕。しばらくするとGIシリーズに突入する。
なんとも忙しいが、競馬はやはり楽しい。的中させて懐が潤えばさらにだが、中山競馬開幕週のメイン、京成杯AHは、一攫千金を期待できる波乱含みの重賞である。
このレースに馬単が導入されてから、これまでの16年間、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連で4回)。そう大きく荒れるように見えないが、この間、1番人気馬が3勝(2着0回)、2番人気馬は6勝(2着1回)。簡単に人気サイドで決まりにくいことがわかるだろう。
つまり、人気馬同士での決着はきわめて少なく、連に絡むどちらかが人気薄の伏兵だということだ。そうした視点で馬券戦術を組み立ててみよう。
ただ毎度、注意しなければいけないのが、舞台が中山芝のマイル戦であること。周知のように、多頭数になるほど外枠の馬は競馬をしづらくなる。
おむすび型の変形コースで、スタートして行き脚、加速がついたところで急に折れる最初のコーナーがある。スムーズに曲がれない馬のアオリを食って、外枠の馬は膨れたり、ハジかれるなど、不利を被ることが多々あるからだ。
よって、中山のマイル戦は脚質いかんにかかわらず、真ん中より内めの馬がよく連に絡み、外枠の馬の連対率は低い。そのあたりはよく頭に叩き込んで馬券戦術を組み立てるべきだが、まだ枠順発表前。まずは、好枠を引き当てることを前提に狙い馬を挙げてみたい。
難解だが、最も期待を寄せてみたいのは、ゴールドサーベラスだ。
前走の函館記念でも注目していたが、体重が減って馬体は細化。それに落ち着きを欠いており、本来の姿ではなかった。それでも前々で積極的な競馬をして、勝ち馬とはコンマ6秒差の好内容。この馬にとってはやや距離が長く、不利な大外枠だったことを思うと、よく頑張ったと高い評価を与えていいのではないか。今度は実績のあるマイル戦で、相性のいい中山での競馬。あらためて注目すべきである。
この中間は順調そのもの。1週前の追い切りは軽快かつリズミカルだった。
「体重が戻って落ち着きがあり、雰囲気が実にいい」
こう清水英調教師は状態のよさを強調する。ならば、チャンスがあっていいはずだ。
このところハンデ戦では決まって54キロを背負っているが、今回はそれ以下、53キロということも十分考えられる。いずれにせよ、この馬にとって走れる条件がそろっている一戦。大きく狙ってみたい。
逆転候補には、ストーミーシーを挙げたい。
5カ月ぶりの実戦だが、放牧でリフレッシュされ、ここを目標にじっくりと仕上げられてきた。それだけに重め感はなく、臨戦態勢は整っている。
前走、同じ中山のマイル戦で行われたダービー卿CTが54キロで3着。であればハンデは同じだろう。チャンスは十分と見ていい。
関西のセントウルSは、GIスプリンターズSの前哨戦。このレース、やたらと牝馬の活躍が目立つが、狙いはやはり、その牝馬。ダイアナヘイローの巻き返しに期待だ。
前走の北九州記念(7着)は、好位で立ち回ったものの末脚不発。案外だったが、少しばかり馬体が重かった。それで息切れしたのではないか。
しかし、この中間は緩みのない馬体で気配は上々。最も得意とする阪神での競馬。今度は違うはずだ。