日本列島を襲う猛暑に多くの人々が熱中症を訴える中、人気キャスターの小倉智昭が禁断の高校野球批判を展開し、注目を集めている。7月19日放送の情報番組「とくダネ!」(フジテレビ系)では「40℃超 猛暑列島」と題して、大阪府の中学校でクラス対抗リレーを行った中学生9人が熱中症の疑いで搬送された件などをレポートした。
ここで番組では環境省が定めた「暑さ指数」(単位は℃)について紹介。31℃以上は「危険」と定められており、日本体育協会では「運動は原則中止、特に子供の場合は中止すべき」との指針を設けていると説明した。ここで小倉が、全国で予選を開催中の高校野球をヤリ玉に挙げたのである。
小倉は「運動は原則中止って言いますけど、たとえば高校のビッグイベント、夏の甲子園であったりインターハイっていうのは真夏にやるわけですよね」と指摘。さらに「今が各地区の予選。(高校)野球もまさにそうでしょう?中止にしたら甲子園行く学校が決められないんでやらざるを得ない。だから応援している高校生がバタバタ倒れるんですよね」と、全国で頻発している熱中症被害について言及した。
ここでコメンテーターで社会学者の古市憲寿氏が「甲子園って何でこんな真夏にやんなきゃいけないんですか?」ともっともな疑問を呈すると、小倉は「わかりません」とバッサリ。同じく産婦人科医の宋美玄氏が「(予選は)ナイターじゃだめなんですか」と質問すると、「お金もかかるし(ナイター設備のある)球場もないし」と返していた。ここで飛び出した爆弾発言についてスポーツ系のライターが指摘する。
「ここで小倉はおもむろに『後援する新聞社の都合とか、いろんなものがあるんじゃないのか』と発言。それを受けて宋も『大人の事情…』とつぶやきました。つまり小倉は、高野連とともに『夏の甲子園』を主催する朝日新聞社と後援の毎日新聞社を正面切って批判したのです。これはテレビ番組のキャスターとしては異例のこと。テレビ局は新聞社と密接な資本関係を結んでおり、よっぽどの不祥事でもない限り、テレビ番組が新聞社を批判することはありません。ただフジテレビのグループ会社である産経新聞社は甲子園には関わっていないため、小倉もつい口が滑ったのでしょう」
小倉の爆弾発言に、隣に座る伊藤利尋アナは複雑な表情を見せたのち、「かつてはそういうことってあまりクローズアップされることってなかったと考えると、やっぱり暑さそのものが変わってきているからって感じもしますよね」と話題を巻き取り、小倉の暴走を巧みに終息させていた。
とはいえ小倉の指摘がある意味で的を射ていたのも確かだ。小倉はかつて14年8月24日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)にて「だいたい日本は高校野球ばっかり騒ぎ過ぎるんだよ」との持論を口にし、「まあ新聞、テレビでやっちゃったんだよね、ああいうふうに」とメディアの姿勢を批判していたこともある。その意味で今回の新聞社批判も小倉のブレない姿勢の表れと言えそうだが、果たしてその批判は広がりを見せるのか。小倉の今後の発言に注目が集まりそうだ。
(金田麻有)