コロナ禍で夏のローカル競馬は慌ただしく過ぎ去ってしまった感があるが、中央場所に戻っての秋競馬も10月4日までは引き続き無観客での開催。この秋競馬のうちに、ぜひ、スタンドを埋め尽くすファンの喚声を耳にしながら馬券を握りしめたいものだ。
コロナ禍よ、去れ! だが、その第一弾は、京成杯AHとセントウルSだ。
中山の京成杯AHは、ハンデ戦とあって一筋縄では収まりにくい、よく荒れる重賞として知られる。今回もフルゲート(16頭)必至で、簡単には決まりそうにない。
顔ぶれからしてもそれがわかる。アンドラステ、エントシャイデン、スマイルカナ、トロワゼトワル、ラセット、ルフトシュトロームなどが有力候補だが、人気どころと伏兵陣の力量に大きな開きはなく、ハンデの味付けも加わる。とにかく難解な一戦だ。
しかも逃げ、先行馬が少なくないことから、展開流れを読むのも難しい。さらに中山のマイル戦は、スタートして加速がつくところで急に折れる最初のコーナーがあるため、外枠の馬はハジかれるなど不利を被りやすく、枠順の有利、不利もある。
この原稿を書いているのが1週前。つまり、枠順発表前に予想を組み立てるのは極めて難しいのだが、真ん中よりも内枠を引き当てることを祈り、穴党として期待したいのは、アフランシールだ。
実績から、マイル戦より、1ハロン短い1400メートルがベストとみられている馬。しかも今回は3勝クラスを勝ち上がったばかりで、昇級初戦。よって伏兵の一角ではあるが、恐らく評価はそれほど高くはないはずだ。そこが当欄としては付け目になる。
マイル戦は〈0 1 0 3〉とイマイチ。しかし連対を外した3回は、休み明けなど、体調に問題があったためで、参考外にしていい。
実際、今年初戦となった東雲賞(中山芝1600メートル)は好位で上手に立ち回り、差のない2着に頑張っている。4勝のうち3勝を1400メートルであげているが、1800メートルでの勝ち鞍もあり、マイル戦は十分に守備範囲とみるべきだ。
前走の新潟日報賞を勝利で飾ったあとは、短期放牧でリフレッシュ。ここを目標に抜かりなく、しっかりと調整されてきており、1週前の追い切りも軽快でリズミカルだった。
厩舎関係者は「中間の稽古内容がとてもよく、体調は前走以上だと思う。ここでも、そう差はないとみている」と口をそろえ、仕上がり状態のよさを強調する。ならば期待していいのではないか。
ブランボヌール(キーンランドC)、ビアンフェ(函館2歳S)が兄弟にいて、ダコール(新潟大賞典)など近親、一族に活躍馬が多くいる血筋。ハンデは恐らく51~52キロ。良馬場条件に初重賞制覇のチャンスとみた。
相手の筆頭とみたいのがスイープセレリタスだ。
前走の函館SS(12着)は、昇級初戦に加えて初めての6ハロン戦。戸惑いもあって後方からの競馬となり、展開も向かなかった。それに前走比プラス8キロで、やや重め残りの状態。負けるべくして負けた印象だ。
その後は放牧でひと息入ったが、それが功を奏し、実にいい雰囲気にある。中間の追い切り内容も文句なし。まずは力を出せる状態とみてよさそうだ。
女傑スイープトウショウ(秋華賞、宝塚記念、エリザベス女王杯)の子で、素質は確か。こちらも初重賞制覇がかかっており、〈2 1 2 2〉と実績のあるマイル戦。大勢逆転があっていい。