100回目の記念大会を迎える夏の甲子園大会は、予選から波瀾の連続だった。センバツ4強の三重、同8強の日本航空石川、絶対王者であるはずの大阪桐蔭も準決勝で「9回二死2ストライク」まで追い込まれた。強豪校が一般校に敗れるのは、なぜか…。そこには、強豪・有名校ゆえの宿命も隠されていた。
「格下をなめて強気の作戦をとって、試合の流れを失うケースもあれば、指導者が予選決勝にピークを持っていこうとし、試合直前まで猛練習をする学校もあります。球児が疲労で体が動かなかったなんてことも少なくありません」(私立校指導者)
ゆとり世代の性格も影響している。センバツや神宮大会で上位進出できたことで満足してしまうのだ。さらに厄介なのは、「寝不足」だ。家庭内の話ではない。強豪校は全国の有名校から練習試合を申し込まれる。招待試合も多い。そのため、土曜早朝にマイクロバスで出発し、日曜の深夜にようやく学校に着いたなんてことも珍しくない。十分な睡眠も取れないまま登校し、また土日曜日は遠征…。そんな慢性的な寝不足生活が、ベストコンディションで臨めなくしているのだ。
「練習試合は必要ですが、地方での招待試合については一度話し合う必要もあるかもしれません」(前出・私立高指導者)
もっとも多忙な遠征・招待試合をこなしてきたのが、総勢7人のドラフト候補を抱える大阪桐蔭だ。100回目の記念大会は開会式前から、新たな問題を露呈させてしまった。
(スポーツライター・飯山満)