さらに五輪出場選手たちを悩ませるのが東京の灼熱地獄だ。
「そもそも猛暑日を連発する夏の東京で野外競技を行うというのがそもそも無理。誰が見ても危険なマラソンはもちろん、会場案内に携わるボランティアも命の危険にさらされます。猛暑対策として小池百合子都知事が『打ち水』の利用を呼びかけていましたが、実際の話、五輪準備局の内部でも『何の効果もない』と酷評されています」(都庁職員)
実際、酷暑での競技実施に批判の声が出始めたことで、新たな動きがあるという。
「マラソンなど一部競技を涼しい地域での実施に変更できるかどうか、いちおうの検討は進めています。ただ、すでにコースも決まっていて、看板競技であるマラソンをいまさら他地域でやるなんて絶対に無理。打ち水効果をアテにして『死のマラソン』が強行されるでしょう」(都庁職員)
選手同様、猛暑で健康面が案じられるボランティアだが、早くも募集段階から大きくつまずいている。
「今年9月からボランティアの募集が始まるのですが、実は驚くほど集まる気配がないんです」
と明かすのは、都庁と大会組織委員会を行き来する五輪関係者だ。ソッポを向かれた原因は酷すぎる募集条件にあるという。
「今年3月に『大会ボランティア』の募集要項が発表されたのですが、これが常軌を逸した悪条件。謝礼はもちろん、交通費さえ出ないうえに、1日8時間の拘束を最低10日以上。都庁の中でも、『ブラック企業かよ!』とのツッコミが飛び交っていました」
こうした猛反発から、交通費だけは支給されることになったが、それでも世間の関心は低いようだ。都庁職員が嘆く。
「合計11万人のボランティアが必要なのですが、募集直前になっても、参加方法に関する問い合わせがサッパリないんです。実は組織委員会でも『集まりっこない』という見方で、学徒出陣さながらに、国内の全大学約750校から大学生のボランティアを徴集する方針が固まりつつある。各大学と協議して、授業の単位取得などを餌にして集めるしかないですね」