「阪神再建論」に続き、球界のレジェンドによる激辛トーク第2弾は、新ルールや選手たちの技量、独走カープ、弱体化する巨人に至るまでを一刀両断。球界の問題点に鋭く切り込むズバズバ指摘に、大きくうなずいてしまうのだった。
福本 最近のプロ野球は、歯がゆいことが多いわ。俺らの時代のほうが、やんちゃな選手も多かったし、やるかやられるかの雰囲気があったけどな。
江夏 今ほど野球が複雑じゃなかった。もっと単純で、男がやる野球というイメージ。だから選手には個性がないと。今は選手が真面目で優等生すぎる。
福本 昔の選手はグラウンドの外でも元気があった。その代わり、ちょっとぐらいのことでは試合を休まん。今みたいに「違和感」や「張り」で休むなんて考えられんかったわ。
江夏 今はみんな右向けと言われれば右を向く。我々の時代は知らん顔して左向く、もっとひどい者は後ろ向く。そんなチームをまとめるのがいい監督だと言われとった。
福本 阪急が強かった時も、一見バラバラでやっているようで、試合になればチームが一つに結束していく感じがあったよ。
江夏 阪急の黄金時代は、個性にあふれた選手ばかりだった。それがまとまって、一つのチームになった時は強かったな。
福本 みんな一匹狼やったわ。阪急に限らず、どこのチームもそう。チームプレーはするけど、好き勝手やっとった。僕が大熊さんと1、2番を組んでた時は、二人で盗塁やエンドラン、バントなどのサインを決めてやっていた。
江夏 そういう野球は、今は考えられない。監督やベンチからの指示で動くだけだから。
福本 最近は仲よしこよしの野球になっている部分がある。他のチームの選手との合同自主トレが報道されたりするけど、アレってどうなんやろ。どこで誰と練習してもいいけど、黙っとけと。誰に教わりましたとか、言わんでもエエし。
江夏 それは報道が発展しすぎたのも一つの理由。我々の時代はそういう細かいとこまでは報道しなかった。選手同士の仲がいいことは悪いことでないと思うけど、勝負において和気あいあいとなってはいけない。
福本 今はなれ合いになっているから、頭付近にボールが来ても「オイ、コラッ!!」というのが少ない。頭に1回でも当たったら、それでチーンやのに。休まなアカンし、下手したら野球生命が終わってしまう。
江夏 昔はグラウンドにもっとギラギラしたものが残ってたな。
福本 本塁のタックルやブロック、危険なスライディングがアカンとか、よけいなルールが多なった。ジャンピングスローでパッと逃げるのも一つの技術。ルールに守られてると逃げ方が下手になるし、油断してたら大ケガにつながってしまう。危ないプレーをルールで禁止しとるけど、そもそも野球は投手が硬いボールを投げる、危険なスポーツなんやから。
江夏 確かにプロの技を見せる機会が減っているし、そういう技術もどんどん下手になってくる。