貴乃花親方の“引退届”が受理されたが、騒動は一件落着とはいかないようだ。10月2日、貴乃花部屋の力士たち8人が転属先の千賀ノ浦部屋への引っ越しを始めたが、その見送りの場におかみさんである景子夫人の姿がなかったのだ。
「彼女が帰宅したのは、弟子たちが出発してしまった後でした。最後の最後になって、見送りもできないなんて」(関係者)
弟子たちが出発する時間を知らせていなかったとすれば、夫婦間でのやり取りがされていなかったことになる。それだけではない。貴の協会批判は“遺伝子”でもあった。母、藤田紀子さんは「若貴が現役を引退し、別の仕事に就きたいと言ったら、応援します」と言っていた。それも、若貴ブームの最中に、だ。今回の騒動後、一部メディアで「協会を辞めると思っていた」とコメントしていたが、親方業を継いでほしくないと思っていたのが真相だ。
「閉鎖的な相撲協会の体質を知っていたからで、父でもある師匠の二子山親方も一門制にも批判的でした。貴は父親のそうした言動を聞いて育ちました」(前出・関係者)
母、兄も貴のもとを離れて行き、意見できる者が一人もいなくなった。師匠・二子山親方も頑固で無口だったが、貴と異なる点がある。二子山親方は我慢強く、不平不満を誰かにぶつけることはしなかった。貴乃花部屋の消滅は運命だったのかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)