野菜や果物が体に良いことはよく言われている。しかし野菜や果物を食べることで、いくつになっても「健康寿命」を延ばせることが新たにわかったというのだ。
ミネソタ・メディカル・スクール大学のPaul D. Robbins氏、Laura J. Niedernhofer氏などの研究グループが、「野菜や果物に多く含まれる“フィセチン”という物質が体内に蓄積された老化細胞のレベルを減少させることを発見した」と、このほど発表した。フィセチンは老化細胞と呼ばれるダメージを負った細胞を減らし、寿命を延ばして健康状態を改善するというのだ。
ところでフィセチンだが、ポリフェノール類の一種。2年前にはアメリカ ソーク生物研究所と武蔵野大学薬学部との共同研究で、「フィセチンに記憶力を増強する働きがあることがわかった」と発表している。フィセチンの健康効果は注目されていたのだ。今回は年老いたマウスにフィセチンを投与したところ、高齢のマウスの健康状態を大きく改善することに成功したうえ、寿命も延びたという。今までは1つの治療法によって、老化細胞だけが攻撃されているのかの確認は難しかったという。ところがこのたび特殊な技術を使った実験で、フィセチンの効果が確認されたというのだ。研究者の1人、Robbins氏は発表時にこう述べている。
「この結果は、我々が『健康寿命』と呼ばれるものの期間を、たとえ人生の終わりの時期からであっても延ばせるということを示している」
最近の日本人の食生活では、野菜や果物の摂取量の不足が言われている。食べるならフィセチンの多く含まれるものを食べたいものだ。
「フィセチンは果物ではイチゴや柿、リンゴ、桃、キウイ、ブドウ。野菜では、玉ねぎやキュウリ、トマトに含まれている」(萩原智恵管理栄養士)
野菜や果物をせっせと食べて悪いことはなさそうだ。
(谷川渓)