山梨県民の食には健康寿命1位を支える根拠がいくつもあったが、他の上位県でも共通点が見て取れる。
今回、女性で1位、男性で3位になったのが愛知県。また男性4位、女性7位は岐阜県。男性6位、女性13位の静岡は前回3位と2位で、今回、女性で三重県が2位に躍進している。
「健康寿命の上位県は東海、中部地方に集中しています。いずれの県も果物、発酵食品、小魚、野菜など抗酸化作用のある食べ物を多くとっている傾向があります」(永山氏)
愛知県は大葉、ふき、とうがん、いちじく、ぎんなん、抹茶の生産量が日本一となっている。
「抹茶は茶葉をすりつぶして全て摂取することができるので、水に溶けにくい成分もまるごと全部吸収することができる。活性酸素を除去するカテキンも多くとれるのが抹茶です。老化防止のビタミンEも多い。全国シェアの20%を生産するいちじくは、ギリシャ神話や旧約聖書にも登場し、イヴが体を隠した葉としても知られていますが、ポリフェノールや水溶性の食物繊維であるペクチンが豊富に含まれています。また活性酸素を除去するポリフェノールの一種、ザクロエラグ酸やアントシアニンも多く含まれていることから『不老長寿の果物』とも呼ばれる世界最古の栽培果樹なんです。ぎんなんも滋養強壮、認知能力アップの効果があるアンチエイジング食品ですね」(永山氏)
健康寿命ランキングで上位常連の静岡県は、お茶とみかんとうなぎの産地。それぞれ日本一の生産量を誇るが、
「温州みかんに含まれるβ‒クリプトキサンチンの抗ガン作用は注目されています。そして、β‒カロテン、ビタミンC、クエン酸などの豊富な栄養素が老化を防止してくれる。うなぎの効能はいまさらですが、DHA、EPAの含有量が多く、頭の働きをよくするんです」(永山氏)
一方、岐阜県は柿の消費量がダントツだ。1世帯当たり年間7373グラムは全国平均の2.5倍にもなる。
「柿は栄養バランスが整っています。柿100グラムに対し、ビタミンCは70ミリグラム含まれていて、みかんのおよそ2倍。柿1個を食べれば、1日分のビタミン摂取量100ミリグラムに達します。ビタミンCには抗酸化作用がある。他にもペクチン、β‒カロテン、タンニンなどが豊富で、アンチエイジングフルーツと言えます」(永山氏)
人生100歳時代が来る。余生を充実させるためにも、健康長寿県の食から、日本人に合った食べ方、伝統を見習うべきだろう。人生50年だった江戸時代のことわざに「80の手習い、90に間に合う」というものもあるほどだ。