世界女王に2度輝き、平昌五輪では銀メダルを獲得した、フィギュアスケートのエフゲニア・メドベージェワ選手。今シーズンは練習拠点をカナダに移し、ブライアン・オーサーコーチのもとで指導を受けているが、思うような成績を残せていない。そのためか、かつての“絶対女王”である彼女がロシアでバッシングを受け続けているという。
「そもそも、ロシアを出て海外での指導を求めたことが、ロシア国内で非難を浴びたんです。ドーピング問題でロシアの参加が危ぶまれた平昌五輪前、メドベージェワ選手は事態打開のためにロシアのスポーツ界を代表してIOCで出場を訴えたほど、ロシアのスポーツ界の代表的存在でした。そんなメドベージェワ選手がロシアを出るという決断が、“ロシアを捨てる”と取られてしまったんです」(スポーツライター)
メドベージェワ選手へのバッシングはカナダに拠点を移したことだけではなく、GPカナダ大会で3位、フランス大会で4位に終わり、成績が今一つ振るわないことからも批判がエスカレートしたようだ。だが、そんなメドベージェワ選手を擁護する声が、他ならぬロシア・フィギュアスケート界から上がっている。
「ロシアのフィギュア界の重鎮たちが、次々と声をあげているんです。羽生結弦選手も敬愛する“皇帝”エフゲニー・プルシェンコはメドベージェワ選手を自分たちみんなが応援しているとエールを送りました。プルシェンコなどの名選手を育てたコーチのアレクセイ・ミーシンは、裏切ったとか裏切られたと言った上品ではない陰口をやめて、メドベージェワ選手の競技について論じようと呼びかけました。タチアナ・タラソワコーチも、メディアやファンが身の毛のよだつような悪行でメドベージェワ選手に襲い掛かったと批判し、メドベージェワ選手が成し遂げた偉業に目を向けるよう熱く呼びかけ、強くあるためには、敗北も経験しないとならないのだと意見を述べました」(前出・スポーツライター)
バッシングされたメドベージェワ選手自身がメディアに語ったところによると、SNSには批判が殺到。40~50代の、いい大人の男性までが「裏切り者」「お前が嫌いだ」などと書き込むという怨嗟のメッセージが次々と溜まっていったという。メドベージェワ選手はそんなバッシングを見ることに耐えられず、SNSを見るのをやめ、インスタも今は管理を会社に任せているという。
向かうところ敵なしで勝利を続け、世界中から賞賛を浴びていたメドベージェワ選手。こんなバッシングに遭う日が来るとは、誰も思わなかったことだろう。
(芝公子)