目前となったプロ野球のキャンプは、ルーキー「BIG4」がいかに実力をアピールするかに注目が集まっている。メジャーを蹴った最速160キロ右腕、甲子園春夏連覇のエース、遅れてきた巨人の星、東都リーグ通算22完封男、はたして前評判どおりの実力を見せつけるのは─。
昨年10月以降、最も話題を集めたプロ野球新入団選手は花巻東の大谷翔平(18)だ。
最速160キロ右腕にして高校通算56本塁打のスラッガーは、多くの球団からマークされたが、ドラフト直前のメジャー宣言もあり、日本ハムのみが単独指名。紆余曲折を経て、投手と野手の「二刀流」構想を掲げて入団に至った。
しかし、現時点では必ずしも話題性と評価が一致しないようである。
スポーツライターの美山和也氏が解説する。
「大谷は昨年夏の岩手大会準決勝で160キロを記録しましたが、その時のフォームは右腕の角度が13時~13時半だった。しかし1週間後の決勝では腕が下がって14時半で、5失点を喫して甲子園出場を逃している。スタミナ不足を露呈しているように見えた。また、複数球団のスカウトが指摘していることですが、投げる前から球種がわかってしまうんです。素材が申し分ないのは間違いないですが、まだ完成までには時間がかかると思います」
民放局のプロ野球担当記者もこう話す。
「在京球団のスカウトは、『下半身は安定しているものの、193センチという長身を使いこなせていない。だから、いいボールもあるけどスッポ抜けや甘い球も目立つ』と手厳しかった。評論家の中からは、『二刀流? やれるものならやってみろ』と一笑に付す声まで出ています。結局、BIG4とくくられても、大谷だけは即戦力でないということ。メジャー宣言したために注目度ばかりが高まった結果ですからね」
ただし、育成に定評のある日本ハムにとって、そんなことは百も承知である。
1月11日にスタートした合同自主トレをメインとし、すでに2月のキャンプでもブルペンには入れない方針だという。
「ハムが高卒ルーキーを2月中にブルペンに入れないのは今に始まったことではない。藤浪晋太郎(18)の育成を巡り、秋季キャンプ中に慌てて『藤浪育成会議』を開いた阪神とは違い、育成に関して付け焼き刃ではない証拠です。大谷本人も納得しているし、尊敬する先輩・稲葉の練習量が半端でないことを知り、『稲葉さんの前で二刀流なんて言ったら怒られる』と、今後の課題を一つ一つ克服していくことを固く誓っています。キャンプは二軍でじっくりやるでしょう」(スポーツ紙デスク)
プロ生活はまだ始まってもいない。これから先が楽しみである。