12年のドラフト1位で阪神に入団した藤浪晋太郎。昨シーズンまでの3年間で35勝を挙げるなど、着実に阪神のエースへの階段を駆け上がっている。その藤浪は12年に大阪桐蔭のエースとして春夏連覇を達成し、甲子園を席巻。全国の野球ファンに衝撃を与えた。
最大の武器は最速153キロを誇るストレート。春の選抜では1回戦で大谷翔平(現・日本ハム)擁する花巻東(岩手)と対戦。藤浪は大谷に一発を含む計8安打を許しながらも、12奪三振、2失点の完投勝利を収めている。
最も打たれたのが、決勝戦の光星学院(現・八戸学院光星)戦。12安打を許したが、要所を締め3失点完投で優勝投手に輝いた。この春はリリーフ登板の1試合を除き、残りの4試合で完投。結果、5試合で40回を投げ、被安打39、奪三振41、与四死球11、失点10、自責点7、防御率1.58という成績だった。そしてここから春夏連覇がかかった夏の選手権で藤浪の投球はさらなる進化を遂げることになる。
この夏、藤浪は全4試合に登板。初戦の木更津総合(千葉)戦では被安打6の2失点。しかも公式戦自己最多タイの14奪三振と上々の出だしであった。準々決勝の天理(奈良)戦では被安打4の13奪三振で1失点完投。準決勝の明徳義塾(高知)戦はなんと被安打2の8奪三振で甲子園初完封劇を達成。さらに決勝戦でも春のリベンジに燃える光星学院を完全に手玉に取る。被安打&与四死球ともわずかに2。夏の決勝戦史上最速となる153キロを記録すると同時に最多タイとなる14奪三振で完封勝利。まさに完勝であった。
この夏の藤浪は4試合に先発し、36回を投げて被安打はわずか14、49奪三振。与四死球9、失点3、自責点2、防御率0.50と抜群の安定感を誇った。
また、登板した試合すべてで失点していた春に対し、夏は徐々に調子を上げて勝負どころの最後の2試合を完封。着実に進化したところを数字でも示してみせた。昨シーズンは221奪三振でセ・リーグ最多奪三振のタイトルを獲得した藤浪。今なおその進化を続けている。
(高校野球評論家・上杉純也)