1月6日にスタートした学園ミステリードラマ「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)の第1話が、視聴率10.2%の2ケタ発進をマークした。この日曜22時枠では前クールで「今日から俺は!!」がスマッシュヒットを飛ばしており、その勢いを維持する形となった。その第1話について、テレビ誌のライターはこう指摘する。
「学生が密室状態に閉じ込められた設定の映像作品には『バトル・ロワイアル』や『悪の教典』、『神さまの言うとおり』といった映画があり、さほど珍しいものではありません。それに主人公の教師がハッカー並みにIT機器を使いこなす設定にも目新しさはなく、生徒を人質に取って教室に立てこもる『3年A組』には凡庸な作品との先入観が立つ恐れさえあったんです。ところが本作では、作品の冒頭にまさかの“ネタバレ”を仕込むことで、視聴者の興味を一気に獲得することに成功しました」
その冒頭シーンとは、高校教師役の菅田将暉が学校の屋上に一人たたずみ、あるセリフをつぶやいてから、仰向けに飛び降りるというもの。その後、物語のフラッシュバック的な映像を流し、第1話の本編が始まるという構成だ。そのセリフとは、
「果たして本当にこれでよかったのか。正解なんてない。オレはこの10日間を全力で生き抜いた。この瞬間をもって、オレの授業は完結する」
この冒頭シーンが持つ効果について、テレビ誌のライターが続ける。
「このシーンを見せることで、教師役の菅田が10日間にわたって立てこもりを続けたことを最初に提示できました。その第1話では最初の1日が描かれたので、視聴者は『1日1話で全10話が完結』というイメージを抱いたことでしょう。そして注目すべきは菅田が口にした『オレの授業は完結する』とのセリフ。第1話で菅田は、女生徒が自死に至った本当の原因を探ることが授業の目的だと明かしていたので、最終回までにはその原因が明らかになることも示唆されたのです。こうなったら視聴者としては、だんだんと明かされていく自死の真相、そして1日ごとに発生する事件に注目せざるを得ません。第1話を観た視聴者の多くがリピーターになることは確実でしょう」
このように冒頭で物語の核心を見せるのは、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎シリーズ」で採用されている〈倒叙物〉という手法でもおなじみ。今回の「3年A組」はそこまで典型的な倒叙物にはなっていないものの、視聴者からは「最終回が待ちきれない!」との声もあがっている。はたして菅田の演じる高校教師は自らの目的を達成できるのか。今後の展開から目が離せない視聴者も多いに違いない。
(金田麻有)