では、本番ではどのようなレースになるのか。小林オーナーの見解はこうだ。
「昨年11月、オープン入り初戦で騎乗した藤岡康太騎手(30)が馬込みの中に入れて5番手で追走、直線で外に出す競馬をした。この時は、砂をかぶってしまい、外に出した時のエンジンのかかりが遅かった。前に馬を置いて抜け出す競馬は向かないと感じたんです。同じ中団でも『根岸S』の時のように外につけて、コパノキッキング理想のストライドを伸ばすフォームで走らせる。これができれば、距離延長も心配はいらないと思います」
それより心配なのが、東京ダート1600メートルが芝スタートという点。同じ芝スタートで行われた「カペラS」では、ほぼ最後方からの競馬となった。
「芝は走らないから、また後方からの競馬になるでしょうね。でも、それでいいと思う。敗れた2戦はいずれも阪神ダート1400メートルで、苦手な芝スタート後に押して行ってバランスを崩し、そのままダートに入ったことでフットワークに無理があったように思います。その点、あたりの柔らかい菜七子騎手ならスタートも上手なので、出たなりのポジションで運べる。そして最後は大外をブン回して、直線の伸びにかける競馬になるでしょうね」
東京ダートの直線は501.6メートル。昨年、ノンコノユメが後方一気を炸裂させているように、今年は藤田の手腕にかかってきそうだが、初のGI騎乗が決まり、藤田のモチベーションも上がってきている。
「2月2日、同じ左回りの中京で1勝2着3回でした。中でも3Rのダート1200メートルは、勝ちパターンの馬を5番手の外からスムーズに追い上げて直線で差し切った。フォームが低く、追う動作もスムーズでしたね。あとは2着が3回だったように、最後のひと押しといったところです。まだ右ムチのスムーズさに欠け、トップギアに上げる時のムチさばきがうまく決まるようになるといいですね」(スポーツ紙デスク)
今回の「フェブラリーS」は、6連勝中のインティ、砂の王者ゴールドドリーム、東京大賞典覇者オメガパフューム、東京ダートの鬼サンライズノヴァなど、豪華メンバーがそろう。
小林オーナーは「実力では5、6番目ぐらいだと思いますよ」と言って登録馬に目を向ける。
「相手は強いけど、菜七子騎手には、コパノキッキングのフットワークのバランスだけを考えて、残り400メートル、目をつむって行け~だね(笑)。うまく脚が残っていて、とてつもない上がりの脚を使った時、大仕事をする可能性はありますよ」
藤田によるGI初騎乗&初制覇──。競馬史の1ページを飾る日になるかもしれない。