JRA所属の女性騎手として初めてGIに騎乗する藤田菜七子。2月17日に行われる「フェブラリーS」でコンビを組むのは、4連勝中のコパノキッキングだ。同馬のオーナーであり、「コパノ」の冠名で数多くのGIを制しているDr.コパこと小林祥晃氏が、愛馬の欠点からレースの秘策まで、余すことなく明かしてくれた。
1月27日、GI「フェブラリーS」の前哨戦となるGIII「根岸S」をコパノキッキングが4連勝で制した直後、小林祥晃オーナー(71)は、藤田菜七子騎手(21)で本番に挑むことを明言した。
「レース後、都内に向かう車の中で村山明調教師(47)に電話をかけてもらい、私の口から『フェブラリーSに乗ってもらうからね』と告げました。『本当ですか~!』と、弾むような声だったね。彼女はその日、中京8Rで今年の初勝利をあげていたし、いいタイミングでした」
その時の勝ち馬も小林オーナーが所有するコパノピエールだったが、JRA通算49勝(2月3日終了時点)のうち、5勝が小林オーナーの所有馬と、2人の相性はいい。昨年の週刊アサヒ芸能9月13日号でも、藤田の「GI初騎乗プラン」をこう明かしている。
「うちには準オープン馬のコパノキッキング(3歳・せん馬)という馬がいる。GIに出られるチャンスが回ってきた時には、菜七子騎手を乗せるつもりでいます」
その後は順調に勝ち星を重ね、前走の「根岸S」で「フェブラリーS」への出走権を手に入れた。この展開には、小林オーナーの顔もほころぶ。
「こんなに早く実現するとは思わなかったね。8月に札幌で連勝したあたりから暮れのGIII『カペラS』を目標にしていて、いざ、出走可能となった時、実は菜七子騎手に『乗らない?』って声をかけたんです。しかし、先約があるということで柴田大知騎手(41)に頼んだ。前走の『根岸S』で彼女に乗ってもらってもよかったんですが、GIじゃないし、ちょうど短期免許の最終日だったマーフィー騎手(23)が『乗りたい』と言ってきたので任せることにしたんです。彼なら置き土産に勝って帰っていくだろうと思ってね(笑)」
小林オーナーの所有馬といえば、GI11勝の日本記録を持つコパノリッキーをはじめ、14年の「高松宮記念」を制したコパノリチャードや09年に「全日本2歳優駿」を勝ったラブミーチャンが有名。同時に、若手騎手を大胆に起用することでも知られる。昨暮れのGI「朝日杯FS」では、コパノマーティン(15番人気・11着)の鞍上に藤田と同期の坂井瑠星(21)を起用。
「人気もなくて、彼には悪いことをしたなって思ったけど、着順にかかわらず、GIの雰囲気を味わうこともいい経験だろうと。南関東で活躍する森泰斗騎手(38)も『ラブミーチャンの背中にまたがったことは僕の財産です』と言ってくれているしね。コパノキッキングは、とてもスピードがあるので、その背中がどんなものなのか、彼女に味わってもらいたい。GIともなればパドックの雰囲気や観客数も違うし、いろいろな経験が彼女の財産になればいいなと思っています」