菜七子人気で当日は盛り上がること間違いなしだが、コパノキッキングについては、不安の声が聞こえてくるのも確かだ。スポーツ紙デスクが話す。
「特に距離延長です。『根岸S』後、手綱を取ったマーフィー騎手が『1200メートルがベストかもしれません。1ハロン延ばすとしたら微妙ですね』と話していた」
小林オーナーの目には、どう映っているのか。
「まず見た目は、短距離を走るダート馬じゃないと思っています。脚は長いし、父も1800メートルの重賞を勝っている。だからこそ、購入時に米国の3冠レースに予備登録をしたぐらい。ただ、とても気性が荒くて、調教師泣かせでね。それですぐに去勢した。先日『タマは冷凍保存していないのか?』ってスタッフに聞きましたよ。ここまで強くなってくれたので、子孫を残しておきたくなった(笑)」
初戦に京都ダート1200メートル(1着)を選んだのも、同馬の適性を重視したわけではなかった。
「どうしても2月4日の立春に走らせたかった。私は愛馬の運のいい日を選んでいるんです。しかし、その日の新馬戦は『除外の可能性がある』と言われたから、じゃあ、未勝利戦でいこうとなった」
そのデビュー戦は10番人気と低評価だった。「理由は気性にある」とスポーツ紙デスクが話す。
「馬場や距離適性への疑問と、激しい気性でした。3戦目となった4月の阪神500万下を取り消したのも気性の問題からでした」
気性については、小林オーナーもこう口にする。
「まず騎手に伝えることは『馬場に出る時に落ちないでね』『無事にゲートに入ってね』と。常に放馬して飛んでいってしまうことを心配しています(苦笑)」
とはいえ、小林オーナーと村山調教師が、黙って見ているわけではない。前走の1400メートルから今回の1600メートルへ距離が延長となることについても対策を練っている。
「昨年の秋から『ちょっと距離を持たせる調教をしない?』と、村山調教師に相談したんです。そして角馬場でゆっくり、ゆっくりと長めに乗ってもらっている」
そうした調教の成果が確実に現れ、「根岸S」の好走につながったわけだ。スポーツ紙デスクもこう言う。
「村山調教師はCウッドで長めから追っていますが、日に日に前半を折り合って行けるようになってる。『根岸S』でも、ダート戦なら前に行く戦法を取りがちなマーフィー騎手が巧みに操り、中団で脚をためていた。気性が荒い馬なので、気分を害すると反発することを感じ取ったんでしょう。距離ロスはあっても砂をかぶらない位置につけ、ラストではじける乗り方を選択したんだと思います」