一方、巨人のキャンプ地・青島から南へ約40キロの日南で“赤チョーさん”広島・長野も連日のように大きな話題を振りまいている。
リーグ連覇チームから「ウェルカム」の姿勢で迎えられ、第1クール最終日の夜には日南市内で盛大な歓迎会も催された。長野自身も率先して夜のつきあいに参加し、新たにチームメートとなった赤ヘルナインたちとの親睦に努めているという。巨人時代から「夜の帝王」などと言われ“飲みにケーション”能力の高さはもともとお墨付きだ。
「キャンプに参加している1軍メンバーのほぼ全員と、挨拶代わりの酒を飲み交わしたようだ」との情報もある。一刻も早く赤ヘル軍団の一員としてなじもうとする長野の心構えが伝わってくるようだ。
とはいえ、ハメを外して飲みまくっているわけではない。今キャンプの長野は酒量をあえて減らし、節制しているというのである。酒はめっぽう強いが、新天地でプレーするにあたって、みずからにしっかりとハードルを設けているようだ。
「ふだんは『底なし』と呼ばれる長野が、多くても瓶ビールを1本空けるか空けないかぐらいしか飲まないのですから、事実上の『断酒』です。本音は今年1年『禁アルコール宣言』をしたいようですが、さすがに新たな仲間たちとの顔合わせで一滴も飲まないというわけにもいかないでしょう。歓迎会など特別な夜だけはしっかりつきあうようですが、日常的には酒量を大幅に減らしているんです。それでも長野は自分を追い込みながら、充実したキャンプを過ごしています」(チーム関係者)
日南キャンプでは1日700スイングをこなす日もあり、カープ名物の竹竿素振りも積極果敢に行っている。別メニュー調整やVIP待遇になっているわけでもなく、他の選手と同じように“カープ流”で黙々と汗を流す毎日。巨人時代にはここまでハードな練習をこなした経験はなかったはずだが、長野は文句一つ言わずにすさまじい練習量を積み上げている。若手メンバーからも「日本一厳しいと言われるカープのキャンプメニューに移籍早々から付いてきている長野さんはさすが」などと激賞されているほどなのだ。
事情を知る球界関係者が、長野がカープ移籍でモチベーションを高めている理由を打ち明ける。
「長野の心中には阿部慎之助(39)がマスコミ相手に発した『いちばん練習しないヤツだった』との言葉が突き刺さっている。入団会見で『“練習しない”というのには誤解がある』と強調したのは、この言葉に対する静かな反発でした。加えて原辰徳監督(60)が、自身と内海哲也(36)が人的補償で巨人を去らなければいけなくなったことに『足し算、引き算』という言葉を使ったことにもショックを抱いたといいます。長野がすでに気持ちを切り替えていても、古巣からいろいろな“雑音”が耳に入ってくることにはカチンときている。“打倒巨人”が猛烈なやる気につながっているのです」
長野は報道陣へのリップサービスも「プロ」。一方の丸は「とにかく男は黙ってプレーすること」がモットー。両者の存在は非常に対照的に映る。丸が「陰」なら、長野は「陽」といったところか。3月29日からマツダスタジアムで行われる開幕3連戦で激しい火花を散らすはずの両者だが、はたしてどういう形で向き合うのか。今から待ちきれない。