実は、県民投票を前に安倍総理にはもう一つ懸念している材料があった。
昨年の12月8日から日系4世の作曲家男性が、米ホワイトハウスの請願書サイトで辺野古への移設工事中止を求めて署名活動を始め、20万人を超える署名を集めた。請願制度は30日間で10万人集まると、米政府は60日以内に何らかの回答をしなければならず、その動きを察知した官邸サイドは一足早く手を打っていたのだ。
「何より怖いのは、ドナルド・トランプ大統領(72)の発言です。反対派が喜ぶような予期せぬ発言がツイッターで飛び出してもおかしくありません。それを防ぐため、官邸側は米政府関係者に『県民投票に法的拘束力はない』と何度も説明し、トランプ大統領にも伝えてもらったのです」(自民党関係者)
これが功を奏したのか、投開票が終わってもアメリカは静観の構えのまま。トランプ大統領もツイッターで県民投票についてつぶやくことはなかった(3月1日現在)。
これで安倍政権がホッとしたのも束の間、玉城氏は次なる一手に動きだしていた。
3月1日に上京すると、県民投票条例に基づき、午前中に在日米国大使館を訪れ、アメリカ側に結果を通知。昼には総理官邸で安倍総理と会談し、工事中止を要求したものの、安倍総理は歩み寄りをみせる素振りもなかった。政治ジャーナリストの山村明義氏は、この先の展開をこう読む。
「県民投票に法的拘束力はなくても、反対派の人たちの間では、アメリカにじか談判すれば状況が変えられるという声があります。そこで鍵になるのは、トランプ大統領との会談です。基本的に『自分の国のことは自分たちで』という考え方なので、それに期待して乗っかる形で『グアム移転』などトランプ大統領から言質を取れたら成功。ウルトラCはそこだと言われています。もし野党の民主党クラスにしか会わせてもらえなかったら、玉城氏の工作は失敗に終わる。アメリカにいろいろな人脈やパイプを持っていると言われ、それを使ってどこまで食い込めるのか。手腕が問われることになります」
玉城知事の腹案では、トランプ大統領に会って伝えることも考えているそうだが、実現までのハードルはまだ高そうだ。