サッカー女子代表・なでしこジャパンがアメリカで開催された「シービリーブス杯」で奮闘した。優勝をかけて挑んだイングランドとの最終戦で敗れ、結果は3位。しかし、「何を仕掛けてくるかわからない」と、強豪各国は“要注意マーク”をつけていた。
「イングランド戦は前半で3点を失い、早々に試合を崩しました。ただし、後半は無失点で、建て直す力もあることを強豪各国に示しました」(専門誌記者)
ディフェンスの最終ラインが強化されたとの分析も聞かれた。専門的な話はともかく、今年6月の女子ワールドカップに期待が持てそうになった最大の勝因は、高倉麻子監督の「度胸」だろう。
「これまでは守りに入っていたというか、失敗のリスクを恐れていたところも見受けられました。若手の底上げが高倉監督に課せられた最大のテーマでしたが、若手も萎縮してか、結果を残せないでいたんです」(前出・専門誌記者)
初戦のアメリカ戦で「変わった」と言っていい。初代表の選手を「先発で2選手、途中交代で3選手」を投入する大胆な采配を見せた。若手が活躍すれば、チームは勢いづく。しかし、失敗すれば勝ち星を欲するあまり、ベテランをまた重宝してしまう。高倉監督は覚悟を決めて「失敗してもいい」の心境になったわけだ。
「高倉監督は酒豪でも知られています。休日は昼間から日本酒、肴は塩辛。日本酒をチビチビやりながら、ずっと本を読んだり、テレビを観たり…。酔って乱れることはありませんが、細かいことを気にしなくなる」(関係者)
代表監督就任後は控えているそうだが、口寂しいのか、全体練習やミーティングではペットボトルの水やスポーツドリンクを一気に飲み干すことも多いという。
16年4月の代表監督就任以降、なでしこはまだ大きなタイトルに恵まれていない。高倉監督がヤケ酒に陥る“危険性”も心配された時期もあった。どうやら、スポーツドリンクで“酔って”大胆になれる術も習得できたようだ。覚悟を持って若手を登用する大胆采配に、強豪各国は「読めない」と首を傾げている。今年9月のワールドカップでもこの大胆采配が的中すれば、11年ドイツ大会以来の栄冠も獲得できそうだ。
(スポーツライター・飯山満)