ディーブル監督は田中同様に、前田健太(24)の“弱点”も指摘している。
「投手としての能力は認めつつも、『WBCの使用球になじんでいないね。修正しないと本番で長いイニングは難しい』と、今大会での先発適性を否定していました」(前出・豪州代表関係者)
実際、豪州との壮行試合2試合目に先発した前田は3回につかまり、四球でランナーをためて一発を浴びて3点を献上している。
「ディーブル監督は『日本の投手、野手の癖は全部見抜いている』と豪語しています。実は壮行試合2戦目で3番手として登板したソーポルドという投手は、トラック運転手との兼業選手なんです。そんな選手が登板初回、阿部、長野、糸井といった主力を三者凡退で抑えたのも、“無敵データ”があったからこそかもしれません」(前出・豪州代表関係者)
ところで侍ジャパンには、一度打線が打てなくなると長らく沈黙するという悪しき傾向も見える。
「ディーブル監督は『日本のバッターは1人打てなくなると連鎖する。ぬきんでた打者がいないからだろう』と分析し、『攻略しやすいチームかもしれない』と自信を見せています」(前出・豪州代表関係者)
侍ジャパンには、キャプテン・阿部慎之助(33)を中心にこの逆境を乗り越えてほしいところだが、
「ディーブル監督は日本代表の関係者から阿部がキャプテンであることを聞かされるや、『阿部? 中心的打者じゃないじゃないか』と言い放ち、『キャプテンは内川(聖一・30)だろう』と提言までしたといいます」(前出・NPB関係者)
内川が前大会で3割3分3厘と打ちまくり、世界一に貢献したのがその理由。阿部には、国際大会でチームを引っ張るほど活躍した経験が圧倒的に不足しているというのだ。
「その見立てには米メディア関係者も同意見で、『キャプテン・阿部はナンセンス』と話していた。チームが重苦しい雰囲気になった時に、経験の乏しいキャプテンが精神論だけで乗り切ろうとする日本的な感覚が理解できないとのことです」(スポーツライター)
何やら今大会の侍ジャパンはなめられているようだが、ライバルたちが警戒する選手もいる。
守護神を任されることになる牧田和久(28)だ。
「上から角度をつける投手が主流の米国で、打者は下から来るアンダースロー対策の練習をしていませんから、抑えで1イニング限定なら有効でしょう。ブラジル代表を率いる米国人のバリー・ラーキン監督(48)も、『あの投げ方でよくスピードが出る。米国にはいないタイプ』と絶賛していた。同様に短いイニングを任されそうな攝津正(30)、森福允彦(26)、山口鉄也(29)といった変則タイプは相手を苦しめるでしょう」(WBC担当記者)
しかし、対戦相手に不慣れな投手をぶつけるのは米国も同様だ。トーリ監督は、昨季に20勝をあげたナックルボーラーのディッキーを選出している。
「会見で『日本対策か?』と問われたトーリ監督は、『それもある』と不敵な笑みを浮べていました。日本に魔球・ナックルボールを操る投手はほとんどいませんから、もし決勝ラウンドで当てられたら苦戦するでしょうね」(前出・在米ジャーナリスト)