吉本興業所属の13人もの芸人が謹慎処分を受けた「闇営業」問題。7月13日に、吉本興業ホールディングスの大崎洋会長が新聞各社の取材に答え、今後の会社としての方針を明らかにした。ところがその内容に、芸人たちから困惑の声が相次いでいるという。
「今後は、全芸人と“共同確認書”を交わし、芸人本人に直で来た仕事の依頼をすべて吉本に報告させるとのことで、反社会的勢力か否かのチェックをして、吉本が仕事の依頼を受けるかどうかの判断することになるそうです。つまり、チェックを理由に直の仕事を完全に管理しようということ。本来はマネジャーが行う営業の仕事を芸人たちがしてとってきた仕事から、今まで取りそびれていたギャラを事務所が確保できる。それでいて、相変わらず書面での正式な契約書を交わすつもりはなく、従来通り口頭での諾成契約でいくというんですから、芸人にとっていいことは一つもなさそうに思えるのです」(お笑い関係者)
要は、マネジメントに関しては今まで通り。これまで、事実上の自由裁量となっていた“直営業”が正式に禁止になるということを意味する。
これに、吉本所属の近藤春菜などは、出演する「スッキリ」(日本テレビ系)で、「私は口頭でも(契約について)聞いた覚えはない」「これで納得している芸人っていないんじゃないかなって思います」と怒りをにじませていた。あるテレビ関係者はこう話す。
「6000人の芸人は明らかに多すぎますから、“イヤならどうぞやめてください”という、体のいいリストラ宣告のメッセージにもとれますよね。それとは別に、共同確認書が反社会的勢力排除にどれだけ効果があるか、という問題が残ります。本気でそのチェックをしようと思ったら、依頼の経緯、風評のチェックはもちろん、現地確認、相手の登記簿や財務の分析までしっかり行う必要がある。マネジャー1人で何十人、場合によっては百数十人もの芸人を担当することもある吉本で、そこまでのチェックがとても可能とは思えませんからね」
この問題の解決は、まだ遠そうだ。
(露口正義)