今週から秋競馬の開幕となり、舞台は中央場所(中山、阪神)へ。
西のセントウルSはGIスプリンターズSの前哨戦で、中山では土曜日に秋華賞トライアルの紫苑S(3着までに優先出走権)が行われる。秋のクラシック、GI戦を目前として番組はバラエティーに富み、興味は尽きない。
中山の開幕週のメイン、京成杯AHは、芝マイルのハンデ戦。馬券的にもおもしろく、難解な一戦だ。
当欄では何度となく書いてきたことで、ファンも周知のことと思うが、中山のマイル戦は多頭数になればなるほど外枠に入った馬は厳しい競馬を強いられる。
おむすび型のトリッキーなコースで、スタートして加速がつくところで急に折れる最初のコーナー(2角)がある。そのため、スムーズに回れない馬が何頭かいて、外枠の馬はハジかれたりするなど不利を被りやすいのだ。
だから、どうしても真ん中より内枠を引いた馬にチャンスが大きくなるという寸法。よって、7、8枠が連に絡むケースは少なく、内枠の馬に目がいってしまうが、枠順発表は週末まで待たなければいけない。当欄としては、好枠を引き当てることを前提として推奨馬を挙げてみたい。
それにしてもよく荒れる重賞である。02年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単による万馬券は5回(馬連では4回)。この間、1番人気馬は4勝(2着0回)、2番人気馬は6勝(2着1回)。1、2番人気馬のワンツー決着は一度としてない、まさに難解な一戦だ。
悩むところだが、最も期待を寄せてみたいのは、レインボーフラッグだ。
前々走の中京記念でも重い印を打って注目していたが、出遅れがたたって後方から。終始リズムに乗れず、しまいは馬群を縫って追い込んでみせたものの、9着に敗れてしまった。
それでも勝ち馬とはコンマ6秒差。荒れた馬場の中、最速の上がり脚を使ったことを思うと、スムーズなら、と惜しまれる内容だった。その際、手綱を取った小崎騎手も「まともだったら‥‥」と、悔しがっていたものだ。
その後は、朱鷺S(5着)を使われたあと、ここまで夏負けせず順調に乗り込まれ、1週前の追い切りは実によかった。
「いい雰囲気に仕上がっている。力を出せる状態」
と、小崎憲調教師をはじめ、厩舎スタッフが口をそろえるところ。ならばチャンスがあっていいのではないか。
ハンデは恐らく中京記念と同じ54キロ。強烈な末脚を身上としながら小回りコースが上手で、右回りがスムーズな馬。中山コースは初めてになるが、問題ないとみた。
近親にラクティ(GIプリンスオブウェールズS、GIチャンピオンS)など活躍馬が少なくない血筋。多少の道悪も大丈夫で、好枠を引くことを条件に、大きく狙ってみたい。
阪神のセントウルSは、ファンタジストが狙いだ。
前走の北九州記念は14着と期待に反しての凡走だったが、大きく出遅れたのが全て。3カ月半ぶりの実戦で、パドック(下見所)から落ち着きがなく、本来の姿になかった。参考外にしていい。
休み明けを一度使われてガス抜きできたのか、落ち着き払って雰囲気が実にいい。稽古の動きも素軽く、今回は力を出せるものとみている。
春はスプリングSで僅差2着。クラシックも──と期待されたが、本質的には短距離馬。変わり身があっていい。