「めんどくせ~よ。いちいち俺に相談すんな! 悩んでるヤツは死んじまえ!」
かつて殿は「オールナイトニッポン」の中で次から次へと、カリスマ・ビートたけしの元へ、すがる気持ちで寄せられるリスナーからの人生相談的なハガキに対し、冒頭の言葉ではっきりと突き放すことがありました。
そんな殿が現在、ネットマガジン「ビートたけしのお笑いKGB」の中で、読者からのお悩みを解決する「人生相談」を3年半も前から毎月やっているのは、たけしファンの間でも意外と知られていない事実でしょう。もちろん、殿が読者からの悩みに対し、ただ普通に答えるわけもなく、恐ろしくアバンギャルドな人生相談となっております。
で、そんな“たけし流人生相談”をまとめて書籍として発売するといった企画がこのたび持ち上がり、まだ発売日も何もかも未定ではありますが、つい先日、殿と第1回目の打ち合わせをしてきました。
殿はこういった“新しい企画の最初の打ち合わせ”の場ではことのほか、ふざけるだけふざけて、遊びまくるのです。この時も、本のデザインから帯、そして、著者近影の写真にいたるまで、とにかく今までにないふざけた書籍を目指し、次々と“たけし印”なアイデアを乱発していました。
そして“とりあえず今回の打ち合わせはここまで”といった空気になり、その流れで、なぜか話題は現在開催中の「ラグビーW杯の予選」の話となったのです。すると、殿は“ひらめいた”といった感じで、
「あれだな。人生相談の本よ、何だかわかんねーけど、表紙に『グループB』って小っちゃく入れとくか」
と、確かに何だかわからない“遊び”をさらに追加してきました。
とにかく殿は、何かしら新しく企画が立ち上がると、最初の段階ではとことんふざけ、遊ぼうとします。
10年程前、かなりまじめな、お笑い要素の少ない番組を殿が始めることになり、その第1回目の企画会議の時も、かなり無茶なアイデアをバンバン放り込んでいました。
「放送中によ、ADが長い棒で俺をつついたり、なぜかタライが急に頭に落ちてきたり『何やってんだ、あいつら』って感じで、番組の内容と関係なくジャンジャン遊んじまうか!」
さすがにこのアイデアはやんわりと却下されていましたが‥‥。
話を人生相談に戻します。
「人に何かを相談する」といった行為について、以前、殿はこんな持論を述べていたことがありました。
「だいたい人に相談する時点で、実はもう自分の中で何となく答えを決めてたりするんだよな。だから人生相談なんて、おざなりの答えを言ってくれたほうがいいんだよ。あれは、ただグチを聞いてほしいだけなんだから」
最後に、殿が仕事のことでもプライベートのことでも、何かを人に相談してる姿を、わたくし、まったく見たことがありません。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!