11月2日から放送されたフジテレビ系「FNS27時間テレビにほんのスポーツは強いっ!」で総合司会を務めた殿に、放送の1週間程前、「殿、そういえば来週の土曜、27時間テレビの司会をやられるんですよね?」と聞くと、
「おう。だけど、冗談じゃないよ。そのせいでやたら周りから『たけしが70過ぎて27時間!』なんて驚かれてよ。70、70、うるさいってんだよ!」
と、まずはいつものように軽く毒づきました。ちなみに、27時間テレビの中で流れるいくつかのコーナーの事前収録が放送の2週間程前にあったのですが、殿はその収録を風邪で休んでしまったそうです。そのために再度、日を改めて休んだ分の収録が行われたのですが、その時の様子を殿は、
「休んだ分、スケジュールがさらにタイトになって、えらい目あわされたよ!」
と、またしても軽く毒づいていました。で、その後もひとしきり27時間テレビの話題で盛り上がると、
「まーだけど、疲れたら楽屋でひっくり返って寝てりゃーいいだろ」
と、最後は“27時間だろうと何だろうと、オイラにとっちゃいつものテレビだ!”といった感じで、この話題を終わらせたのです。
しかし、殿が嫌がっているところ大変申し訳ありませんが、72歳で27時間テレビの司会は、やはり、どう考えたってすごい!としか言いようがありません。
で、そんな27時間テレビをリアルタイムの視聴と録画を駆使し、全てのコーナーを確認したわたくしがまず思った感想は〈わたくしは何十年、テレビの中の殿を見て、笑い続けているんだろう〉です。そして、〈長く出続けることがいたって困難なテレビの世界で、殿は40年近く、そのど真ん中でスポイルされず、思いっきり横綱として出続けている〉といった事実に、改めて驚愕したのです。
ちなみに、わたくしが20年程前、殿の付き人になって初めて付いた現場が、当時、特番で不定期に放送していた「たけし・さんまの有名人の集まる店」であり、収録前、隣のさんまさんの楽屋から漏れ聞こえる、「ファーーWWWWW」という“引き笑い声”を耳にした殿は、わたくしに向かって、小さな声で「あいつは病気だな」と、あきれ顔で話しかけてきたのをよく覚えています。
話を殿の“驚異的な売れ続けぶり”に戻します。
1980年からの漫才ブームでドカンと売れた殿は、もうすぐ2020年を迎える現在も、当たり前のようにテレビに出続けています。以前に殿が、
「まー今まで、いろんなアイドルや歌手なんかが俺の番組(『スーパージョッキー』のこと)でデビューしていったけど、ほとんどいなくなったな」
と、振り返っていたことがありました。しつこいようですが、〈芸能の世界で40年トップって!〉と、驚くと同時に〈いったい殿はこの40年でどれだけ稼いできたのだろう?〉と、つい、下品な勘ぐりも抱いてしまうわたくしなのです。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!