5年程前からスタートした「ビートたけし“ほぼ”単独ライブ」には毎回、恐ろしく長いサブタイトルが付いています。
例えば2016年の春、たけしファンの聖地・浅草開催の第三弾となるライブでは「1回目のライブで大幅に出してしまった赤字を回収するため開催したこないだのライブで、見事損失補填に成功し、そればかりか、6千円も黒字が出ていた事がこの度判明したため、これはお客様に還元しないと罰が当たると思い、急遽開催することになった、赤字覚悟の大還元祭的な、やや持ち出しの『ビートたけし“ほぼ”単独ライブ 第三弾』」。
こういった、その時その時の“殿の最新のふざけ”を色濃く反映したサブタイトルが毎回付きます。
で、3回程前の当連載で、来る12月6日、北九州にて開催される第九弾となるライブのサブタイトルを「オイラの単独ライブも次で9回目。ただ、なかなかやる会場が決まらず、どうもおかしいと思ったら、どうやら今まで好き勝手やってきた内容がバレたらしく、日本全国メインどころの会場が弱腰になり、どこも貸してくれなかったため、やむをえず、唯一貸してくれる会場のあった、北九州で開催することになったライブ。ここがダメなら、もうあとは、北方領土でしかやるところがないぞライブ」と殿が提案してきたと書いたのですが、つい先日、
「北九州のライブのタイトルよ、あれ、なんかもうちょっと面白くならねーか?」
と、修正を切り出されたのです。そんな殿の要求に、「殿、もともと今回の北九州ライブは、九州出身のお宮の松さんが『殿、僕の地元の博多で、お客が1万人入る会場でやりませんか?』って話からスタートしたんですが、結局、何だかんだあって、場所は博多じゃなく北九州の小倉で、キャパも1万人でなく、2千人の会場に替わったので、その辺をいじりますか?」と進言すると、殿は即座に、
「そうだよな! もともとはあいつが『博多で1万人の会場を押さえます!』って話でOKしたんだよな。よし、じゃーよ、『オイラの弟子のお宮の松が“殿、次の殿のライブは僕の地元の博多で、キャパ1万人の会場でやりましょう。僕は博多じゃ顔ですから、僕に任せてもらえればバッチリ仕切ります!〞なんて言うからOKしたら、実際は博多じゃなくて北九州で、キャパも1万人じゃなく2千人の会場に替わってるじゃねーか、バカ野郎! 最初聞いた話と随分と違うじゃねーかバカ野郎! ライブ』ってタイトルにするか」
と、あっという間にサブタイトルを変更し、さらに、
「あと、あれだ。『田○まさしと沢○エリカが捕まっちまったから、それをライブでいじらない手はないと、急遽開催を決めたライブ』ってのも付け足しとくか!」
と、もともと長かったサブタイトルにオマケを付け足し、過去最高に長いタイトルにアップデートしていくのでした。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!