「極右」「女性差別」と国内外から袋叩きにあっている橋下徹大阪市長。例の「従軍慰安婦」発言からまもなく1カ月、防戦一方の姿を見せ続けるのは珍しい。そんな中、かつての法曹界の仲間たちからも〝三行半〟を突きつけられた。そのドギツイ全容を以下──。
「前例のない暴言。公人として許されない」
5月29日、大阪弁護士会に、弁護士でもある橋下徹大阪市長(43)に対する懲戒請求がなされた。同日、その請求代表人の弁護士、辻公雄氏は会見で、橋下氏の従軍慰安婦発言を冒頭のように強く非難した。
この懲戒請求には、弁護士ら有志739人が請求人に名を連ねているという。
当初、請求代表人の一人を務める予定だった弁護士の樺島正法氏はこう話す。
「代表人は『1人にしてください』と弁護士会からの要請もあり、先輩である辻先生にお任せしました。その後、6月6日時点で、108人の方から請求人に加わりたいという申し出があります。この方たちの分は、追加請求していくことになります」
請求人が多いほど、懲戒請求の効力が強まるわけでもない。しかし、それほど多くの人々が、橋下氏の暴言を許せないと感じているのだ。
これだけ多くの同僚弁護士らが賛同した懲戒請求書の内容を見ていこう。
まず、先の「従軍慰安婦制度は必要だった」という発言をこう断罪している。
〈憲法および自由人権規約の基本的人権・男女平等規定を全く無視し、弁護士の社会正義の実現、基本的人権擁護義務を定めた弁護士法第1条の規定にも反する極めて異常な発言〉
そして〈弁護士の品格・品位をどん底にまでおとしめた〉と痛烈に批判しているのだ。
この懲戒請求の動きが報じられるや、橋下氏は「政治家としての発言」と防御線を張った。しかしこれにも、請求書では釘を刺している。
懲戒の規定を定めた弁護士法第56条の〈その職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があったときは、懲戒を受ける〉という記述を引用。〈市長・政治家としての発言であるとかの言いわけは、一切通用しない〉と続けている。
さらに、国内外の批判を紹介し、過去の「クソ教育委員会」「徴兵制賛成」などの橋下氏の暴言を列記までしている。
ここまで来ると、橋下氏への怨念めいたものを感じなくもない。過去の暴言まで持ち出したのは、請求書にある「補論」に導くための序章だった。
その「補論」には、〈自分が犯したミスや道義的責任は一切ほうかむりし(中略)責任転嫁することが〉多いと橋下氏の言動を分析。ことに、橋下氏の出自に関する報道をした「週刊朝日」に対して差別主義者と批判しながら、今回の橋下氏の女性蔑視とも取れる発言は許されるのかと論じている。
そして、「風俗活用」発言をしたアメリカに謝罪・撤回したのに、慰安婦や風俗嬢には謝らない。橋下氏の〈『強きになびき、弱きを挫く』性向が鮮明に〉出ていると一刀両断にしている。